第8回患者さんの会の御礼とご報告(心臓突然死の講演も)

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この11月7日(日曜日)に第8回患者さんの会を開いて戴きました。いつもの祇園ホテルの広間で和気あいあいとした時間が持てたことを感謝しています。

行楽日よりの晴天の一日、それも七五三の日にもかかわらず60名を超える方々にご参加いただき、なつかしいお顔を拝見しうれしく思いました。

今回は突然死とくに心臓突然死の原因と対策、とくに予防について、お話しました。

心臓突然死は毎年数万人とも言われる多数の方を襲う、こまった問題です。しかし名前は「突然」死でも、実際にはその前兆、まえぶれが結構あるものです。そこを見逃さず、早目にかかりつけ医や専門医などの相談して頂ければ、結果はずいぶん違ってくることをお話しました。

心臓突然死の中で一番多いのは狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患です。こ 冠動脈疾患は心臓突然死の原因ワースト1です。ご注意を
れは胸の痛みや不快感があることが多く、おかしいと思った段階ですぐにご相談頂ければ、比較的楽な検査で冠動脈のかなり詳細までわかります。冠動脈が狭くなっていることがわかれば、カテーテル治療バイパス手術などで治すことができます。重症の弁膜症でも起こることがあります。

つぎに多いのは不整脈です。これも突然危険な不整脈が来るよりも前ぶれがあることが多く、動悸息切れがあれば一度専門医にご相談されれば役に立つと思います。不整脈が単独で起こる場合もありますが、心筋症心筋梗塞後などの原因があって起こることも多く、その場合は原因を治療することで改善が期待できます。あるいは心電図を一度見れば対策が立てられることもあります。

突然死の原因として3番目に多いのはスポーツです。これはスポーツが悪いという意味ではなく、スポーツ中に隠れ不整脈がはっきりと出てくるという意味です。隠れ不整脈の原因としては冠動脈疾患心筋症弁膜症などがあります。

その次に多い原因としては心不全があります。心臓に余裕がないためちょっとしたきっかけで突然死するのは怖いことですが、心不全の患者さんではちょっとした運動で息切れなどがありますので注意しておれば未然に発見できます。

いずれにせよ早目に心臓専門医にご相談頂ければ対策可能であるため、おかしいと思う症状などがあればがまんせずにご相談されることを勧めます。

対策としてはそれぞれの原因疾患の予防や早期発見・早期治療がもっとも有効です。高血圧、高コレステロール血症などを含めたメタボの対策はとくに重要です。前回のダイエットのお話を想い出して頂ければ幸いです。

以上のようなお話をさせて戴きました。それから多数の御質問を戴き、関心の高さをうれしく思いました。なお心臓突然死につきましてはAll Aboutの拙筆のページ(原因・メカニズム予防・対策法)をご参照下さい。

全さんの手作りの美味しいケーキでお茶の時間となり、それからまた質疑応答の時間を持ちました。

心臓近くの大動脈瘤がわかりどうしたら良いかというご質問もありました。答えは、まずどういうタイプと大きさの瘤かを把握し、それに応じてお薬とか手術とかカテーテルによるステントグラフトなどの治療法からベストのものを選びます。勇気を出して、病気と向き合うことが大切で、それにより見通しを改善できるのです。

中には今通っている病院の対応にどうしても不満があるというケースもあり、えてしてこういうことも起こります。その場合は礼儀正しくデータをもらって、他病院での御意見を戴くというのも一法でしょう。

散歩のときに右足に痛みを感じるというお話がありました。これも下肢の血管を調べ、それで問題あれば血管を治療、血管に問題なければ整形外科で背骨を調べてもらえば解決するでしょう。

国立大学病院に勤務していたころにどうしてもできなかったことの一つが、患者さんが外来へ来られて、その日のうちに、数時間以内に検査を完了しその結果や画像を一緒に見ながら治療方針を立てることでした。ハートセンターでは仲間の努力のおかげでこれが実行できており、夢が一つ実現してうれしく思っています。

前回の患者さん会で講演いたしました新しいダイエット法で5kg以上痩せられた患者さんや大きな手術から10年近く経って、今なおお元気という声も多数あり、うれしく思いました。こうした患者さんの元気なお姿を、かつて苦労をともにした病院の仲達にお見せできないのが残念です。

あれこれと歓談するうちに時間が来てお開きになりました。いつもお世話して下さる松岡さん、中村さん、全さん、そして秘書の中村さん始め多数の方々に深く感謝申し上げます。

何か御心配な折には独りで悩まずにご連絡下さい。それではまた次回、多分来年春ごろにお目にかかりたく存じます。皆さま、ご自愛下さい。

2010年11月6日

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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