お便り47: 心が通じ、大きな手術を乗り切った患者さん

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AoDissect2慢性大動脈解離は、大動脈解離のあと、

解離つまり壁が内外に裂けた状態がそれなりに一時安定した状態です。

そのままで行けることもありますが、

しばしば二次的に解離腔が拡張し、

大動脈瘤つまりこぶのように膨らむことがあります。

こうなると破裂の恐れが強くなり、

心臓血管手術が必要となります。

破裂してからでは体がもたず、手術が手遅れになって命を落とすことが多いからです。

 

下記の患者さんは78歳の女性で、

A型大動脈解離つまり上行大動脈 Ilm10_de02003-s心の解離を発生され、

近くの総合病院に緊急入院し、

内科治療を受けられました。

たまたまお薬や点滴で落ち着き、

そのまま退院して普通に生活しておられました。

しかし時間とともに解離した大動脈がこぶのように膨らんできて(慢性大動脈解離)、

そろそろ手術をという話が持ち上がりました。

しかしその病院での対応になっとくできず、

名古屋ハートセンターの私の外来に来られました。

 

図 トータルアーチ時間をかけて相談しているうちに、次第に打ち解け、

前向きに治療・手術に取り組む決心をして下さいました。

比較的ご高齢の患者さんにとってはかなり大きな手術ですが、

生きるため、そして活発に生きるために覚悟を決めて頑張って下さいました。

解離を起した弓部大動脈をすべて人工血管で取り換える、

弓部大動脈全置換という手術を行いました。

結果は順調で翌日には病棟へ復帰され、まもなくお元気に退院されました。

その後は普通の健康生活を楽しんでおられます。

 

Ilm20_ae04023-sその患者さんのご家族からのお礼のメールです。

病院の事務へ送られてきました。

簡潔な文章の中に患者さんのお心が感じられうれしく思いました。

 

また外来の定期健診でお会いしたいものです。

結局、人間はこころのつながり、信頼関係が一番大切で、

こころが一つになったとき、ベストの結果がでるものと思います。

 

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Subject: ありがとうございました〓

 

21年9月に母親の大動脈オペをしていただき、今は普通の生活をしています〓

 

当時の母親は***のDrの対応が不満でオペを拒否していましたが、

米田Drの 優しく思いやりのある対応ですぐにでもオペをと希望した母を今だに笑い話になってます〓

 

あれだけ、嫌がっていたのに スタッフのみなさんも大変親切にしていただいて、退院するのを嫌がった事も思い出 しました

 

父親を二月に亡くし、その間入院している忙しい事でお礼が遅くなりました。

本当にありがとうございました。

米田先生は私たち家族の恩人です。 ありがとうございました。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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