乳頭筋接合術とは

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虚血性僧帽弁閉鎖不全症をはじめとする機能性僧帽弁閉鎖不全症に対して行う弁形成術のひとつです。

当て布付の糸で前乳頭筋と後乳頭筋を根本か中ほどか先端部で寄せ、あたかも一本の乳頭筋のようにするのがこの方法の特徴です。

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この方法のコ LevineSchemeンセプトは2000年にMGH(マサチューセッツ総合病院)のRobert A. Levine先生らが提唱された両乳頭筋間の左室を縫い縮める方法から始まっているようです(左図)。

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それと並行して、拡張型心筋症に対するバチスタ手術で左室側壁を切除するとき、ちょうど両乳頭筋間の左室を切除することが多く、それはそのまま乳頭筋接合術を兼ねていたともいえます。多くのばあい、僧帽弁閉鎖不全症は軽減し良い結果をもたらしていました。

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日本ではこの方法を北海道大学の松居喜郎先生らが積極的に施行され成果を上げておられます。

私たちもこの乳頭筋接合術を行った時期があり、成果を上げることができました。

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その後、乳頭筋ヘッド最適化術(PHO)を開発してからはこちらの方を多用しています。PHOのページで示していますように、後尖の形が自然かつきれいで、長期間の再発が少ない形をしているためです。いわゆる後尖テザリングと呼ばれる現象が軽いのです。これは長期的に有利な形で、この点で乳頭筋接合術(後尖には効かない)より優れていると考えるわけです。

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それとすべての外科手術術式は自

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自然に学ぶことが治療成功のカギと教えられました

然に学ぶのが良い、人工的な構造には慎重であるほうが安全であるという恩師 David先生の考えにそって、自然の構造から開発したPHOのほうがなじみやすいのかも知れないと考えてのことです。

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ともあれ今後も皆で検証を続けながらより良い治療法を開発、定着させていきたく思います。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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