いい心臓・いい人生 【第八十五号】アジア弁膜症シンポジウム(その1)

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いい心臓・いい人生 【第八十五号】アジア弁膜症シンポジウム(その1)
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発行:心臓外科手術情報WEB
https://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:米田正始
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拝啓

紅葉が美しい季節になりました。皆様お元気にお過ごしでしょうか。

 

私のほうは相変わらず忙しくさせて戴いております。
大阪の仁泉会病院で外来を、医誠会病院で心臓手術と一部外来をこなし、
学会で報告できるレベルの大きな手術を順次こなしております。
皆さんお元気でうれしいことです。

 

さて私、先日、秋の快適な日本を後にしてアジア弁膜症シンポジウムのため
ボルネオへ行って参りました。ボルネオは大きな島ですが、その北3分の1
ほどはサラワク地方でマレーシア領です。

 

ここで弁膜症シンポジウムを開催しました。私も理事(世話人)として
お世話させて頂いている身ですので、最初から最後まで参加しました。

 

アジア諸国の経済的発展を背景に、医療の世界でもアジア諸国は元気です。
弁膜症の手術や治療でもその傾向が見られ、世界的な視野とレベルで熱い
議論が交わされました。

 

このシンポは今回で8回目になりますが、もともとはあの有名なロッキーマウンテン
弁膜症シンポジウムのアジア版として誕生し、このボルネオのムルMuluという場所で
国の支援の元、始まりました。

 

今回はアジア弁膜症アカデミーという、学会より一段上の組織ができ、その
第一回集会という意味合いで、発祥の地ムルで開催されました。

 

アジアはもとより、欧米やオーストラリアなどからも弁膜症仲間が集まり、
南国らしいリラックスした服装と雰囲気で、熱い議論が交わされました。

 

僧帽弁や大動脈弁の形成術はもちろん、低侵襲手術そしてカテーテルをもちいた
TAVIやMクリップなどの最近の成果と外科の貢献などが論じられました。

 

なかでもTAVIは進展著しく、いずれ外科手術に代わって大動脈弁とくに狭窄症
の治療主役になるであろうと皆思っていたのですが、最近の米国FDAのデータを
皆で検討してみますと、意外なぐらい外科手術が長期生存率、長期の脳梗塞
予防率そして弁耐久性のいずれもで勝っており、これから外科医もますます
張り切って患者さんのお役に立てるのではないかという結果でした。

 

(続く)

 

敬具

 

平成28年11月22日

米田正始 拝
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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