お便り98: ポートアクセス法僧帽弁形成術で早い仕事復帰を

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人間出会いはさまざまです。患者さんは50代男性で浜松からお越し下さいました。

A335_010仕事でお忙しく、あまりゆっくり療養もできない状況で、かつ手術後には病気を忘れて仕事に熱中できるような治療をもとめて私の外来へ来られました。

ポートアクセス法による僧帽弁形成術が創も小さく、骨も切らず、痛みも軽く、社会復帰が早いです。

そのためこの状況に一番ぴったりの手術ですが、この患者さんはバーロー症候群という、僧帽弁全体が病気になる、同じ僧帽弁形成術でも比較的高度な技術が求められる状態で、ポートアクセス法をやっている病院でも一般には通常の正中アプローチを使う傾向にある状態でした。

しかしバーロー症候群をポートアクセス法で僧帽弁形成術するという経験を着実に積んできましたので、この患者さんにも同じ方法で手術しました。

弁は3か所を直す、比較的複雑なものになりましたが、結果は良好、逆流なく、かつ全身に負担を与えない、短時間でまとめ上げることができました。

下記のお手紙は、この患者さんが中日新聞にお書きになられたエッセイです。

文中に名古屋の病院とあるのは、当時私が名古屋ハートセンターで勤務していたからです。現在は大阪府の医誠会病院と仁泉会病院で忙しく汗を流しています。

ともあれ患者さんの元気な社会復帰、仕事復帰のお手伝いをできたこと、大変うれしく思っています。これから楽しく、ばりばり仕事に打ち込んで下さい。お時間のあるときに、大阪京都観光を兼ねて外来へ定期健診にお越し下さい。

********患者さんのお便り(エッセイ) 中日新聞10月13日*******

心臓手術

きっかけは職場の健康診断だった。いつもなら儀式的に終わる聴診と脈診が、やけに時間がかかるなと思っていると、「心雑音と不整脈がある。再検査を受けて」と診断された。

 
IMG_1959b 間を置かず精密検査を受けたことが、大きな一歩になった。心臓エコーで、僧帽弁機能不全の疑いがあることが分かったのだ。

 僧帽弁は左心房と左心室の間にあり、血液が流れた後、ぴったりと閉じる。それが、何かの原因で弁に異常が起きて閉じきらなくなり、血液が逆流していた。息切れや胸が苦しいという自覚症状はなかったが、放っておくと、心不全や心筋梗塞のリスクが高まる。早期発見は、むしろラッキーだと考えた。

 名古屋に心臓外科の専門病院があり、さらに精密検査をしたのち、手術の決断をした。後から知ったが、この病院は、皮膚切開が少なくて済む先進技術で手術を行い、担当医はゴットハンドといわれる名医だった。

 二週間で退院し、一ヶ月で仕事に復帰できた。いろんな人との出会いと幸運が重なり、命を救われた思いだ。同僚や家族の支えにも深く感謝する。いまは体調をしっかり整えることで、恩返しとしたい。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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