いい心臓・いい人生 【第100号】アメリカ胸部外科学会で来年も発信

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いい心臓・いい人生 【第100号】アメリカ胸部外科学会で来年も発信
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発行:心臓外科手術情報WEB
http://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始
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本格的な冬将軍の日が増えましたが皆様如何お過ごしでしょうか。

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前回のメルマガでも少しご報告致しましたが、来年2018年のアメリ
カ胸部外科学会(AATS)で2年連続で発表できることになりました。

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世界の心臓血管外科のトップに位置付けられる学会で、競争率が
高く、日本からの発表も少ないのですが、高い評価をいただき
嬉しく思っています。

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発表するのは拡張型心筋症いわゆるDCMや虚血性心筋症などに
対する新しい左室形成術で、私たちは心尖部凍結型左室形成術と
呼んでいます。英語では Frozen-Apex Surgical Ventricular
Restoration (Frozen-Apex SVR)と呼んでいます。

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これまでの左室形成術は熟練心臓外科医が行えば効果があるの
ですが、時間もある程度長くかかり、もともと重症心不全の患者
さんが多いだけに体の消耗もあり、普通の心臓手術よりは死亡率
が高いことが知られていました。

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10年以上前、京大病院に勤務していた頃に、多数の拡張型心筋症
の患者さんたちが行き場のない状態で私のところへ来られました。
移植の適応外でもあり、そのままでは1週間ー半年以内に死亡する恐れが
ある患者さんたちでしたが、その90%以上をお助けしました。当時の
全国手術死亡率の半分にまで下げることができ、心不全医療を知る人には
高い評価を頂きました。しかしこうした命がけで患者さんを救命する医療を
知らない人たちは死亡例があることを批判し、危険な手術だと決めつけ
ました。重症患者さんから逃げるのが安全という空気が強くあったのです。
見捨てられた患者さんのことは誰も議論さえしませんでした。

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そうした心無い批判に対して、医学の本道から私は黙々と左室
形成術や関連手術の改善を図って参りました。その一つがこの
心尖部凍結型左室形成術でした。かつて助けられなかった重症患者
さんの大半を今なら助けられる、そういうレベルに達しました。
この新術式の症例数はまだ10例弱と少ないですが、全員救命でき、
その後の経過とくに心臓の調子は良好です。

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もう一つの努力の成果が乳頭筋前方吊り上げをする僧帽弁形成術
いわゆるPHO手術でした。この2つを組み合わせることもよくあり、
効果はさらに上がります。元々が重症患者さんで心臓の筋肉も
かなり減っているため、長期予後は油断できませんが、これまで
長期間のフォローで心臓死が殆どないという成果が出てきて
います。昔、私の力及ばずお助けできなかった患者さんを偲びながら
今なお努力を続けています。

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こうした経過を踏まえて、世界の心臓外科トップ学会で発信し、
多くのご意見をいただき、さらに改良し世の中の皆さんに役立て
ていただけるよう、頑張ります。

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寒い季節にちょっと熱いお話をしてしまいました。
皆様、お風邪など召されぬよう、ご自愛ください。

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平成29年12月24日
米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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