最終更新日 2019年12月29日
1. 動脈硬化症とは
動脈硬化症は高齢化そして栄養やストレス過多の現在、増える傾向にある現代病です。
動脈硬化は脂肪などが血管の壁に貯まって起こります。
動脈は全身にあるため、動脈硬化は全身病となります。
たとえば心臓とか脳あるいはお腹や下肢にもよく起こります。
同じ理由で、下肢の動脈の悪い方は心臓等の動脈も悪いことがよくあります。
高血圧症は動脈硬化の全身への現われです。
いずれも平素から注意が大事で、また原因の除外や予防も大切です…
2. 心臓の動脈硬化症は
心臓は数分も休めば命にか かわる重要臓器ですので、心臓の動脈硬化症つまり冠動脈病変は要注意です。
予防や早期治療が役立つだけに油断はしないようにして下さい
右図は冠動脈の動脈硬化の結果、心筋梗塞が発生したところを示したものです…
3. 大動脈の動脈硬化症 にはどういうものが?
大動脈(右下図)も人間の動脈で最大のものであるだけに硬化が進めば危険な状態になります。
一般には大動脈瘤の形でくることが多いのですが、心臓と違って胸の痛みなどの症状がはっきりしないことが多く、その分要注意です。
いったん瘤が破裂してしまうと激痛が走りますが、まもなく命を落とすことが多いため平素から注意し、早期発見することが望まれます…
4. 下肢の閉塞性動脈硬化症 では?
高齢化にしたがって下肢の動脈硬化症も増加傾向にあります。
下肢の病気は命にかかわらないと思われがちですが、お年寄りなどでは下肢の動脈硬化のため下肢が腐り、切断となると体力が弱まり命にかかわることが増えます。
軽症ならカテーテルによる血管内治療PPIでより負担少なく治せます。
重症になっても下肢の閉塞性動脈硬化症には各種バイパス手術で治せるものが多数あります。
血管の長い完全閉塞などでは、これまでの長期データでバイパスが有利な傾向が示されています。
バイパスの受け皿となる血管がなくなると手術も困難となるため、下肢の調子があまり悪くならないうちにご相談されることを勧めます…
1. 下肢の閉塞性動脈硬化症に効く手術は
2. 腋窩動脈大腿動脈バイパス(Axillo-Femoral バイパス)
3. 大動脈―大腿動脈バイパス手術 (Aorto-Femoralバイパス術) とは?
4. 大腿動脈―大腿動脈バイパス術 (F-Fバイパス術)について
5. 下肢のASOが重症化したら?
下肢の閉塞性動脈硬化症が悪化し、しかもカテーテル治療やバイパス手術ができない状態のときでも再生医学とくに新しい血管を創る血管新生療法なら対処可能です。
ただし下肢がすでに死んでしまった状態ではいくら血管を創っても死んだ組織は生き返らないため手遅れとなります。
再生医学とは死んでしまった組織を生き返らせるという意味ではなく、血管などを創るという意味です。
そこを注意し、早目にご相談されることが大切です…
6. 新しい再生医学の治療法
7. bFGFを用いた血管新生の特長は?
治療法のなかった下肢ASOに威力を発揮するでしょう。
現在準備中の臨床試験にご期待ください…
8. 病診連携の講演会から
平成25年10月に奈良市で行われた米田正始の講演の一部です。
弁膜症、虚血性心疾患、大動脈などのまとめと、下肢の虚血の再生医療についても簡略ご説明します。
音声がやや小さいためボリュームを上げてご覧ください。ご要望にお応えし字幕をつけました。
医療者の方々向けです。一般の皆様にはちかぢか一般向けを予定しています。
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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