最終更新日 2019年2月26日
このページの目次
12)もう一つのミックス(MICS)
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心筋症・心不全はこれまでどちらかと言えばあまり手をつけられない病気でした。
心移植や補助循環(人工心臓)などは年齢制限その他様々な制約があり、なかなかその恩恵を受けるわけに行かないことも多く、従来型治療では治すのが難しい、なかなか良くならない、予後が悪いという扱いでした。
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しかし心筋症・心不全はその内容によって心臓手術で治せる部分が多くありますし、現代はうまく使えば効く薬も多数あります。
日々データが蓄積されつつあり、解決の方向に進みつつあります。
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1) 心筋症とは:
いくつかの原因があり治療法も違ってきます、、、続きを見る
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心不全パンデミックとは?、、、大きな社会問題になりつつあります。続きを見る
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重症心不全で「打つ手なし」と言われた方に、、、本当に打つ手なしなのでしょうか?続きを見る
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2) 虚血性心筋症:
心筋梗塞などの心筋虚血のために起こる心筋症で治療できる要素が複数あります、、、続きを見る
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3) 拡張型心筋症:
何らかの原因で左室が拡張し(大きくなり)パワーダウンする状態です。各治療法の限界をわきまえるとかなり治せます、、、続きを見る
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◆ 周術期心筋梗塞による拡張型心筋症: 言葉を変えれば心臓手術がらみの心筋梗塞による拡張型心筋症ですが、重症でも治せるケースが増えました、、、続きを見る
◆ 心不全の手術について:
現在までにさまざまな外科手術が使えるようになっています。
課題も多いのですが、今後さらに発展するでしょう。ネバーギブアップの、、、続きを見る
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4)機能性僧帽弁閉鎖不全症とは:
普通の弁膜症とは違います。そのままでは永く生きられないため心臓のパワーアップが必要です。、、、続きを見る
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◆ なかでも虚血性僧帽弁閉鎖不全症は: 心筋梗塞の後などに起こる困った弁逆流で、、、続きを見る
◆ それに対する弁形成術――もともと心機能も予後も悪い病気だけに先人たちが苦労を重ねて改良を続けてきました。その歴史は、、、 続きを見る
◆ そして解決の道が拓けつつあります。新しい術式で、、、 続きを見る
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心筋症や心不全にともなう弁の逆流で、そのままでは危険なことがあります。
一見弁膜症ですが、じっさいには左室の病気で、普通の弁膜症の患者さんよりも心臓のちからが落ちているのです。
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*All Aboutに「心不全の原因とメカニズム」(拙筆)が掲載されていますのでご参考にして下さい
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未解決の問題が当時はいくつもあり、
アメリカなどでは保険がおりないこともあって下火になっています。
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しかし日本やヨーロッパなどで地道に改良がおこなわれ、
正しく適切に行われれば患者さんを助けることのできる有効な手術法という実績が一部の専門病院ではでており、
今後評価が高まるものと考えられます。
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5) バチスタ手術とは?
奇跡の心臓手術?でもなぜ下火に?その原因を解決した改良型とは?
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そもそも左室形成術とは何?: 左室形成術とは左室瘤や拡張型心筋症その他の状態に対して左室の容量・サイズと形を整え調整することで左室の機能をできるだけ回復させる手術です、、、続きを見る
バチスタ手術は左室の側壁つまり外側に面した部分に対して行う術式ですが、
病気の場所によっては心室中隔つまり左室の内側を治したり、心尖部つまり左室の先端部を治すこともあり、それぞれに適した手術法を選びます。
それらが以下のものです。
どれが良いとか良くないというよりも、各々の特徴をつかんで適切な選択を行うことが大切と思います。 .
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6) より進化した左室形成術
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①セーブ手術 :左室の形とサイズを整え悪いところをほぼ処理できる、つまりきれいな左室を回復できるが、、、続きを見る
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②オーバーラップ手術:パッチを使わず状況によっては便利な術式だが、、、続きを見る
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③ドール手術:標準的な方法ですが弱点があります。
そこで年々改良を加え、その安全性と効果は10-20年前より大きく進歩しました、、、続きを見る
④心尖部「凍結」型左室形成術: 新しいコンセプトによるもので、患者さんに極めて優しい、低侵襲の左室形成術です。欧米でも注目されており、これからより多くの患者さんをお助けするでしょう。心不全パンデミックの時代にお役に立てばうれしいことです、、、続きを見る
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心筋症・心不全の手術は単に心臓を治して完成というものではありません。
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お薬や心臓リハビリその他を駆使して、心臓手術の効果は一層高まり、また長持ちしやすくなります。
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つまり外科だけでなく内科やナース、リハビリ、薬剤師、精神的ケア、開業医の先生方も含めたチーム医療が大切なわけです。
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7) 左室形成術を強化する方法 :
手術だけでなく、様々な方法をハートチームで駆使し、心臓と患者さんを守ることが大切です、、、続きを見る
難病と呼ばれる病気にも治せる部分はよくあります。
たとえば拡張型心筋症やサルコイドーシスあるいは左室緻密化障害はその例です。
それぞれこういう状況の時に手術(左室形成術)が効くというものがあります。
逆に効きづらい状況のときにはお薬その他の方法でじっくりと改善を図るのが良いわけです。
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8) サルコイドーシス心筋症 
難病とはいえ、左室の一部分が壊れるだけなので治せるタイプがあります、、、続きを見る
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9) 左室緻密化障害 とは
大人になって心不全で見つかることも。原因不明の難病ですが、
中に治せる、あるいは改善できるものがあります。世界初の手術成功から10数年経ち治療はより進化しています、、、続きを見る
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10) 拡張型心筋症と左室形成術 
ケースによってはよく効きます。
そこでその見極めと、適材適所の方法を使うことが大切です。これまでの経験を振り返り、、、続きを見る
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11) HOCM(肥大型閉塞性心筋症、別名IHSS特発性肥厚型大動脈弁下狭窄症)とは:
手術が劇的に効くことが多いです。治る病気になりました。私たちは国内でも最多レベルの経験量を持つチームです、、、続きを見る
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◆ HOCMでも創が小さいミックス手術で行うことが増えました。そのためには、、、続きを見る
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◆ 一般にはオペが難しいと言われる心室中部閉塞型心筋症つまり左室の中ほどが狭くなるタイプでは、HOCM手術の経験量がものを言います。、、、続きを見る
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◆ 心尖部肥大型心筋症について:これまで知られていた以上に突然死などの危険がある病気ですが、熟練チームなら治せます。左室を開けるため左室形成術の経験が役立っており、、、続きを見る
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12) もう一つのミックス(MICS)
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ミックスは小さい傷跡で、通常骨も切らずに行う心臓手術です。弁膜症やバイパス手術などで活用されることが増えつつあります。心筋症や心不全の場合は傷跡の大きさを考える余裕がなかったり、年齢的にもある程度高いためミックスよりも安全性を重視する傾向があります。
しかし小さい傷跡はともかく、早い社会復帰、早いクルマ運転復帰は心筋症や心不全の患者さんたちにも大切です。そのための手術を工夫しています。→→→続きを見る
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■ 病診連携の講演会から
平成25年10月に奈良市で行われた米田正始の講演会から。音声が小さいためご要望にお応えし字幕をつけました。
心不全や心筋症でも外科治療で治せることはよくあります。これを解説します。医療者の方々向けです。一般の皆様にはちかぢか一般向けを予定しています。乞うご期待。
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❤「All About」の拙筆 心不全(急性、慢性、その他) もご参照ください
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執筆:米田 正始
医誠会病院スーパーバイザー 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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