僧帽弁形成術は進化を遂げましたが今でもまだまだ難問のことがあります。これは弁形成が複雑な場合や、形成の経験量が少ない施設でよく見られます。
次のお手紙は沖縄から来られたお若い患者さんからいただいたものです。
バーロー症候群という弁形成が難しいタイプの病気で、地元の基幹病院でも弁形成はできない、人工弁を用いた弁置換しかないと言われたそうです。
しかし弁置換になってしまうと、将来の妊娠や出産に大きな問題を残します。機械弁の場合はワーファリンというお薬が必須のため、それによる奇形や流産さらには母体の危険が付きまといます。生体弁の場合は若いご年齢に加えて赤ちゃんのホルモンの影響で生体弁が急速に壊れることがあるのです。
やはり患者さんのいのちや人生を守るためには弁形成しかないというのが結論でした。入魂の手術で(いつも入魂ですが)無事弁形成ができました。それもMICSで傷跡も見えにくく、社会復帰も早い手術で完遂できました。
以下はその患者さんが退院するときに下さったお手紙です。お許しを得て掲載します。これから新しい元気な活発な人生を楽しんでください。
********患者さんからのお便り*********
米田正始 先生へ
沖縄の病院では手術が必要で選択肢が(機械弁か生体弁かの)2つしかないと言われたときは絶望しました。
でもたくさんの病院を調べて米田先生をみつけることができました。
心臓の手術は私の19年間生きてきた中で大きな出来事で正直こわかったけれど今ではやっぱり体が楽になっていて手術を受けて良かったと心から思います。
助けていただいた命を無駄にせずなんでも挑戦して夢に向かって頑張ります。
くじけそうになった時、壁にぶちあたった時は手術のこと、先生方の事を思い出して諦めず後悔のないように生きようと思います。
本当にありがとうございました。
今後も検診等でお世話になります。
またよろしくお願いします。
米田先生も体調には気をつけてくださいね!
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退院後1ヶ月の外来で患者さんはお元気なお顔を見せて下さり、すでに活発な生活を送っておられました
せっかくの大阪ですのでUSJにも行かれたようで、何よりでした
その際に患者さんのお母さんからお手紙をいただきました
親の愛は本当に美しく、そのお手伝いができて、私も喜びを噛み締めています。
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************お母さんからのお便り********
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米田正始 先生へ
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米田先生をはじめ、楠瀬先生、氏家先生、諸先生方、看護師の皆さん、理学療法士の皆様、娘が大変お世話になりました。
今年三月地元の病院の定期検査で、手術が必要となり、毎日不安な日々を過ごしていました。
娘の命を賭けた手術を、実績と信頼の置ける医師に助けていただきたい、その願いだけでした。
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そんな時娘が米田先生のホームページを見つけました。メールのやりとりで今の娘の心臓の状態や、自己血の説明来院する日を決めました。
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米田先生の丁寧でわかりやすく安心感のある説明を聞いていくうちに、手術に対する不安と恐怖心もうすれ、米田先生なら娘の心臓を預けても間違いない、絶対に米田先生に助けていただけると確信し、その日に手術の日を決めました。
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地元の病院では、生体弁か機械弁かの選択でしたが、米田先生は娘の将来を考え、絶対的に弁形成で、そして傷口が目立たないミックス手術でやるべきだとの説明でした。その時の驚きと嬉しさは今でも忘れられません。
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手術後すぐの説明で弁形成が難しいバーロー症候群であったと聞きました。
娘のような難易度の高い弁形成も米田先生の熟練された高い技術と工夫があったからこそ治せたのだと思います。
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術後の回復力も素晴らしいものでした。
リハビリも楽しみで、心身ともに日々元気になっていく娘の姿を見て、米田先生に巡り会え、手術をしていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
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本当にありがとうございました。
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またICUで弱気になった時、あたたかい言葉、励ましの言葉をかけて下さったり、退院後風邪気味になり、不安な気持ちに対応して下さった先生方、看護師の皆様、本当にありがとうございました。
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今後も検診等でお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
米田先生、大変お忙しいとは思いますが、ご自愛のほどお祈りしております。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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