僧帽弁置換術、、、患者さんの想い出

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Aさんは70代後半の男性です。連合弁膜症、15年ものの心房細動と冠動脈狭窄のため米田正始の外来へ来られました。他府県からご指名でお越しくださりありがたく思いました。

元来は健康で農業を活発にやっておられたようですが、リウマチ性の大動脈弁閉鎖不全症と同・僧帽弁閉鎖不全症のため心房細動を合併し、冠動脈の狭窄も加わって心不全が進行し、仕事が苦しくなったようです。

そこで手術になりました。リウマチ性でもなるべく弁形成するように工夫しているのですが、ここは年齢を考え、生体弁でも20年近くもつこと、4つの手術を安全に行うために個々を短時間で確実に仕上げるひつようから僧帽弁置換術を選びました。生体弁が入りました。

大動脈弁も同様に硬く肥厚していましたので生体弁で置換しました。メイズ手術を行い、最後に内胸動脈を前下行枝につないで手術完了しました。

術後経過良好で、正常リズムでお元気に退院されました。外来でもお元気なお顔を拝見し、いつもていねいに挨拶していただき、恐縮しています。

このように僧帽弁置換術は年齢や状況をよく勘案すれば患者さんの安全や健康に大いに役立つのです。若い患者さんにはリウマチ性といえども工夫を凝らして弁形成を行いますが、状況によっては見てくれにこだわらず僧帽弁置換術を活用する、これが大切と思います。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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