大動脈弁形成術、患者さんの想い出

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今から15年近く前、まだ京大病院で勤務していたころ、10代後半の男性がお父さんと一緒に来られました。

大動脈弁閉鎖不全症で心臓が大きくなっていました。まだ若い、学生ですのでぜひとも大動脈弁形成術を行おうと思いました。というのは若いため弁置換になると機械弁が必要で、それではワーファリンを服用する必要があり青春をのびのび楽しく過ごすには少々障壁になる恐れがあったからです。

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弁は二尖弁で破壊はそうひどくなかったためさまざまな工夫を凝らして大動脈弁形成術を完遂しました。

術後は弁逆流はごくわずかで心臓も小さくなり、元気な学生生活を送られました。やや遠方ということもあってその後直接外来には来られなくなりましたが、聞いたところでは10年後も逆流は軽く心臓は良好で元気に暮らしておられるとのことでした。

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若い学生の青春時代をワーファリンなしで暮らせるようにとの私の願いは実現したことになり、うれしく思いました。その後、多くの患者さんたちがこの大動脈弁形成術で自然な生活を楽しまれることになるのです。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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