機能性僧帽弁閉鎖不全症、、患者さんの想い出

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拡張型心筋症という病気は現在も難病あつかいで良い治療法がなlpsd2102c-sいという印象を持たれています。

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Aさんは70代男性で、拡張型心筋症が進み、左室が大きくなり変形して、僧帽弁もゆがみ、機能性僧帽弁閉鎖不全症になり、心不全で入退院を繰り返すようになり、私に紹介されました。

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拡張型心筋症の大元は心筋が弱ることにあります。現在の医学ではそれをすぐに治す特効薬はありません。しかし筋肉をある程度守り、あるいは悪くなる原因を除くことはできるのです。

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Aさんの場合は機能性僧帽弁閉鎖不全症を治せば、それだけでも1-2年まえのそこそこ良い状態まで戻せるかも知れない、さらに薬で心筋を守ることでさらに数年前の比較的良い状態まで戻せる可能性もある、そう判断しました。

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ILM18_AB01028手術では私たちが開発した乳頭筋最適化手術(略称PHO法)の、それも新型の方法を使いました。

要は乳頭筋を適正な位置にもどす、人工腱索をもちいて、自然の方向に吊り上げることで。さらにいくつかの操作を加えました。機能性僧帽弁閉鎖不全症の原因である乳頭筋の位置のずれを治したわけです。同時に左室を小さく、細長くという正常状態に近づけたのです。

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術後経過は良好で、弁の逆流は止まり、弁の形もきれいになりました。心室もかなり小さくなり、薬も使いやすくなりました。

薬はARBまたはACE阻害剤および抗アルドステロン剤という心臓を守る薬、そしてベータブロッカーという心筋をいわば休憩させてエネルギーを貯めこんで元気にする、この3種類をしっかりと使います。

Aさん、これから楽しみを持ってかなり良くなった心機能をさらに磨いて行きましょう。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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