弁形成術、患者さんの想い出

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Aさんは関西在住、30代の女性です。弁形成術をもとめて当時私が勤務していた名古屋ハートセンターまで来て下さいました。まだ開設まもないころでしたのでいっそう記憶に残っています。

先天性僧帽弁閉鎖不全症という病気で弁の壊れ方が強かったため大学病院でも弁形成術は難しい、人工弁が必要ですと言われて私の外来まで来られたのでした。

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手術手技は壊れた僧帽弁をいくつものテクニックを駆使して再建するタイプの弁形成術になりました。前尖のクレフト(裂隙)を修復し、後尖の腱索断裂部を補修し、リングを付けるなどしました。他の付随する病気も併せて治しました。

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結果は良好で弁の逆流はほぼ消失し、患者さんはお元気に退院されました。あれから7年、外来でもお元気に定期健診に来られます。

そして最近、可愛い赤ちゃんを連れて私の外来に来られました。感動を共有でき最高のひとときでした。弁形成術の良さをしみじみと、お互いに感じたひとときでした。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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