心膜嚢腫のMICS手術

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心膜嚢腫は心臓の周りにある袋状の構造物である心膜の一部が嚢腫となり起こります。

その中に水のようなものが貯まり徐々に大きくなることがあります。あまり大きくなって心臓を圧迫し、不整脈や心不全を合併すれば手術が必要となります。

また圧迫がなくても時間とともに大きくなり、悪性の疑いが出てくれば安全のため手術することもあります。

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通常はふつうの心臓手術と同様、胸骨正中切開にて前からアプローチし嚢腫を切除します。

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私たちはMICSの方法を活かして、胸骨を切らずに傷IMG_0229b2跡が小さく見えにくい方法で手術をしています。写真右はその一例です。僧帽弁形成術などとほぼ同じ傷跡で手術できます。

これなら右胸の乳腺の少し下、女性の場合なら乳房の陰に隠れるしわのところから胸の中にはいれます。

心膜の外側にある嚢腫を完全に切除して胸を閉じて手術を完了します。

肋間神経を一時ブロックするため術後の痛みはあまり無いことが普通です。骨も切らないため傷の治りが早く、1週間あまりで治ります。まもなく普通の仕事やスポーツもできます。

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MICS手術の場合大切なことは手術の質を落とさないことです。つまり完全切除できるケースにのみ用いるようにしています。

もし心膜嚢腫が心臓の左側にあれば、左胸からアプローチするかもしれませんし、下側つまりお腹側にあればお腹からアプローチするかもしれません。完全切除に多少でも心配がある場合は正中切開つまり真ん中からアプローチします。

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すべてのケースで原則オフポンプ、つまり人工心肺を使わないようにしています。

これによって体への負担が減り、より早い回復と快適な術後生活が得やすくなるのです。

 

こうした様々な工夫によって心膜嚢腫の手術はさらに進化しています。

心臓手術は大変だから嚢腫をそのままに放置する、そしてそのための被害をこうむるなどのないようにしたいものです。そのためには診断がつけばまず専門家に相談です。

 

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米田正始   医誠会病院スーパーバイザー 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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