2009年12月1日 「事業仕分け」 

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心臓外科医の日記

患者さんや読者の皆さんのご希望を頂いて心臓外科医の日記というブログを始めてみることに致しました。

皆さんにお伝えしたいこと、また皆さんからお聞きしたいことはたくさんありますが、楽しくぼつぼつ進めたく思います。

最近は事業仕分けが話題になり結構いろんな予算や努力、そしてさまざまな無駄があるもんだと感じました。
その中には快哉を叫びたくなるような面白い話や、ちょっと近視眼的で日本の将来を十分考えていない、捨て置けない話までいろいろあります。

 

後者の方の例を挙げますと、さまざまな研究予算が削られる方向にあります。

日本は土地も資源もほとんどありません。あるのは人と技術だけです。

人を育て技術を育てることがこの国にとって大切です。

研究予算はこの国の人と技術を育てるために必要不可欠でこの国の将来を決める重要なものです。

世界中がしのぎを削って競争している中で日本だけがどんどん後退して行くのは危険なことです。

人と技術がダメになってしまうと食料を輸入することさえできなくなります。

 

前者の例を挙げますと、既得権を確保するために造らなくても良いダムを造り続けるなどの、官公庁・官僚のためにお金を投入することなどがたくさんあります。

またそれに群がり甘い汁をすうような官僚や天下りの方々が多数います。

この機会にしっかり大掃除してほしいと思います。バンコックハートセンターにて 

 

医療の世界でもこうした官僚のための無駄遣いはたくさんあります。

多額の予算つまり税金を投入しても、しっかりした医療ができない事例はすでに山積しています。

いわゆる医療崩壊として救急のたらい回しはよく知られていますが、病院内でもちょっと腎臓やその他の状態が悪いと、「安全上の理由で」手術ができない、許可されないなどの事例が国公立病院では増えています。

手術を断られた患者さんはどうなるのでしょうか。

中には死に行くだけの方が多数含まれているのです。ぜひこの機会に皆の議論の場にあげて、改善したいものです。

 

(写真は定期的に出張手術等をさせて戴いているバンコックハートセンター(タイ)のポスターから拝借しました。

日本の民間病院では公的資金を使わず努力と工夫を重ねて患者さんを常に受け容れているところもあるのです。ハートセンターもその一つで誇りに思っています)

 

初回のブログから堅苦しいお話になってしまいました。

しかし放ってはおけないことですので、ついお書きしてしまいました。

皆さまからのご意見・ご教示を頂けましたら幸いです。

 

2009年12月1日 米田正始

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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