最終更新日 2020年3月12日
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失神は危険な症状です。
失神を起こす原因には
心臓、脳、腹部内蔵、その他さまざまな病気や状況が考えられ ます。
そのままでは命の危険があることも多く、
とくに以下の状況では直ちに病院へ直行してください。
意識が戻らず、様子がおかしいときには救急車で。
救急車とはこうしたときのためにあるのです。
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1.とくに危険なもの
意識を失う(失神発作)ときに周囲の方が見て
胸が痛い様子であれば、
心筋梗塞などの恐れがありただちに循環器科、救急科、心臓外科がある病院へ
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失神発作のとき、お腹が苦しそうであったならば、
胃腸や食道から多量に出血している恐れがあり
直ちに病院へ。消化器科、(腹部一般)外科、救急科などで。
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失神発作のとき、入浴や排便の最中であったり、
意識を失う前に嘔吐や強い頭痛があったようなら、
脳卒中の恐れがあります。けいれんがあることもあります。
直ちに病院へ。脳神経外科、神経内科、救急科など。
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意識を失うとき、けいれんを伴っていれば、てんかんの恐れがあります。
直ちに病院へ。神経内科、脳外科、救急科などで。
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失神発作のときに冷や汗や顔面蒼白などがあったり、
それまでに糖尿病でインシュリン注射や薬を飲んでいたら、
低血糖発作の恐れがあります。直ちに病院へ。
内分泌代謝内科、内科、救急科などで。
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意識を失う前に嘔吐や強い頭痛があり、
首筋の筋肉が硬く突っ張ったり高熱があれば、
髄膜炎や脳炎、脳膿瘍などの恐れがあります。
直ちに病院へ、神経内科、脳外科、救急科などで。
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激しい下痢や嘔吐のあとで意識がなくなるか薄れるなどのときは、
食中毒、赤痢、急性胃炎などの恐れがあります。
直ちに病院へ、内科や消化器内科、腹部一般外科、救急科などで。
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意識がなくなった方が、過去に頭部の外傷を受けたことがあれば、
脳外傷の後遺症の恐れがあります。直ちに病院へ、脳神経外科など。
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内蔵たとえば肝臓、腎臓、肺、膵臓の病気などの既往があれば、
それらの悪化の恐れがあります。直ちに病院へ、内科など。
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暑い季節や状況とか強い日差しの中で意識を失い、
顔色は悪く手足が冷たくなっているときは、熱中症の恐れがあります。
直ちに病院へ。救急科などで。
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しかし、いざその時になりますと、動転し、頭の中が真っ白になるものです。
そういう「わけがわからない」状況のときには、救急車を呼んで、近くの救急病院へ行って下さい。
もしあれば救急救命センターなどのしっかりしたところが良いでしょう。
日頃からこういう場合はここ、というご自分の救急病院を持っておく、考えておくのが賢明です。
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2.その次に危険なもの
以下の状況では1.の失神発作よりは多少の時間的余裕はありますが、
なるべく早めに病院へ行き、原因をつきとめるようにして下さい。
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意識の消失(失神発作)がごく短時間で、
40歳以上とか糖尿病などの持病がある場合は、
脳血管の狭窄(狭くなること)や不整脈(脈が極端に遅くなったり速くなるとき)、低血糖発作などの恐れがあります。
内科、循環器内科、神経内科、救急科などで。
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短時間の意識消失で40歳未満ならてんかんやヒステリーなどもあり得ます。
まず内科や神経内科へ。
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立ち上がったり長時間立っているときに意識を失い、
薬の服用後であれば、精神安定剤(トランキライザー)や高血圧のお薬(血管拡張剤、利尿薬、など)が原因のこともあります。
お薬を出している担当医にご相談を。
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上記で薬を飲んでいないときは、
貧血や起立性低血圧、動脈硬化などの恐れがあります。内科や循環器内科へ。
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失神発作は危険な症状ですが、治せることが多いため、ぜひ早めの行動をお願いします。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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