いい心臓・いい人生 【第104号】 第8回日本ローカーボ食研究会のご報告

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いい心臓・いい人生 【第104号】 第8回日本ローカーボ食研究会のご報告
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発行:心臓外科手術情報WEB
http://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始
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三寒四温のこの頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。

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去る3月11日に日本ローカーボ食研究会の第8回学術集会が開かれました。
思えばまだローカーボ食・いわゆる糖質制限食がまだあまり知られていない
頃に、患者さんのための食生活を考えるという方向性を持って糖質制限食の
あるべき姿を極めようという趣旨で、灰本クリニックの灰本 元先生を中心に
名古屋の熱い先生方が集まり、勉強を重ねたものでした。

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いつも医師だけでなく管理栄養士や薬剤師、食品会社、コメディカルの方々
など多数のご参加をいただいて中身のある議論を重ねて来ました。
私たちが教科書を出してゆるやかローカーボ食を提唱したのもすでに数年以上
前のことで、この領域も随分進歩したものと思います。極端な糖質制限食の
危険性がようやく理解され始めたこの頃ですが、私たちはその先を見て、
さらに進化した議論を今回も企画しました。

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テーマは「健やかに老いるための高齢者の生活管理」で、まず春日井市民病院
循環器内科の小栗光俊先生に中規模病院における高齢者心不全の実態と栄養
管理」のご講演を頂きました。高齢者の心不全が増えている中で、痩せや
低栄養が予後の悪化に関連すること、SGAなどの栄養スクリーニング法の
活用、減塩のあり方、たんぱく質の有用性など盛りだくさんでした。

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引き続いて名古屋大学教授の山田純生先生に「慢性心不全におけるフレイル
改善・予防のための栄養・運動管理」についてお話し頂きました。フレイル
サイクルとその予防、特にサルコペニアやカヘキシアとの関連、心不全に
おける腸うっ血の細菌のトランスロケーションなど広く深いお話でした。
いずれも栄養を今後さらに重視した治療や予防が必要で、この研究会の特別
講演にふさわしいものでした。

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午後はマニュアル通りの治療がかえってQOLを下げた症例というテーマで
6つの発表がありました。
いずれも大変興味深く、糖質制限の光と影を見るようなケースや、本来良い
こととされる塩分制限が患者さんをかえって悪化させたケースなど、今後の
治療に役立つ内容でした。

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私は心臓外科医の立場から病院食を考えるというタイトルでお話ししました。
私たちが医誠会病院心臓血管外科で積極的に行っている自己血貯血とそれに
よる完全無輸血の心臓手術を巡って、病院食では血液の回復が自宅食の場合
より遅く、それではと病院食+焼肉外食にするとほぼ有意に改善し、より
無輸血手術の達成に役立ったという内容でした。体への負担が少ないMICS
での心臓手術はもちろん、高齢者や再手術などでも患者さんの早期回復や
合併症予防に有用でした。

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病院食とは限られたコストの中で、塩分6gで栄養のバランスも良く、管理
栄養士さんたちのご苦労が偲ばれるものなのですが、手術など、これから
攻めに行く場合にはパワー不足であることが示され、今後の医療を考える
上で役に立つ内容とお褒めいただきました。

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心臓手術の成功だけでなく患者さんの健康生活それも長期のそれを達成する
ためにも、この研究会の活動を今後もしっかり支援したく思った一日でした。
関心がおありの方々には、日本ローカーボ食研究会のホームページをご参照
いただければ幸いです。

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平成30年3月21日
医誠会病院心臓血管外科スーパーバイザー
米田正始 拝

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