いい心臓・いい人生 【第127号】 第49回日本心臓血管外科学会にて

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いい心臓・いい人生 【第127号】 第49回日本心臓血管外科学会にて
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発行:心臓外科手術情報WEB
http://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始
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この2月10日から13日まで日本心臓血管外科学会のため岡山へ行って来ました。

川崎医大教授の種本和雄先生が会長で、一言で申し上げれば「入魂の素晴らしい学会」
でした。

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科学的な学術集会としてのレベルはもちろんですが、普段あまり光が当たらない領域も
重点的に取り上げ、また同先生が力を入れて来られた専門医制度、医療安全や盲点になり
がちな知識技術の強化、重要であるにもかかわらず見過ごされがちなメディカルアート、
患者さんの命をかけての勝負とどこか共通する将棋の名人の話、実用的な手術ビデオ、
はては懇親会での力のこもったお酒・ワインとチーズ、などなど入魂の学会でした。

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私自身は学会での勉強や交流を楽しみながら、わがチームの新しい手術を報告しました。
複雑僧帽弁形成術の会長要望セッションで私たちの連続ループ法を発表しました。従来法
より効率が良いため、これまでおいそれとはできなかった複雑僧帽弁形成術が可能となり、
しかもミックスでも使いやすいため関心は持っていただけたらようです。

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さらに最近話題の心房性機能性MRに対する心房縮小メイズを発表し、有益なコメントや
質問をいただきました。この手術は12年前にメジャージャーナルにてオリジナルで発表
した内容の発展型でこれから多数の患者さんを助けるものと期待しており、関心を持って
くださる先生方が多かったのは嬉しいことでした。発表の翌日のシンポジウムで倉敷中央
病院の古市先生、小宮先生、島本先生らがその12年前の論文を引用して下さり、それを
ゲストコメンテーターのウェルズ先生(Francis Wells、ケンブリッジ大学)が高く評価
して下さったため誇らしいひと時でした。しかし多くの心臓外科医に活用して頂いてこ
その新術式ですので、これから啓蒙活動を進めようとEBM社の朴先生らと相談していました。

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補助循環のセッションで、補助循環へのブリッジまたは代替治療としても役立つ新しい左室
形成(心尖部凍結型左室形成術)を発表し、良いコメントをいただき、今後に繋げる発表と
なりました。

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なお会長要望のMICSの功罪セッションでは様々な観点からの議論があり有意義でした。
ロボット導入が急に進んでいるという印象を得ましたが、あまり良くないという発表もあり、
むしろ3D内視鏡は有望との印象でした。なぜかMクリップ(カテーテル治療)の発表も海外
からあり、DCMに対するMクリップの成績が1年死亡率30%と悪いことがわかりました。対象
にもよるのですが、私たちの成績(PHO乳頭筋吊り上げ等)はこれを遥かに凌駕しているため
今後さらに精進したく思いました。

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楽しく有意義な4日間でした。留守を守って下さった医誠会病院の皆様に感謝申し上げます。

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平成31年3月15日

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医誠会病院心臓血管外科スーパーバイザー
心臓血管外科専門医・指導医
米田正始 拝

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米田正始   医誠会病院スーパーバイザー 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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