いい心臓・いい人生 【第八十三号】医誠会病院から

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いい心臓・いい人生 【第八十三号】医誠会病院から
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発行:心臓外科手術情報WEB
https://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:米田正始
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拝啓

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残暑というよりまだ真夏のような日々が続きますが、皆さんいかがお過ごしで
しょうか。

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先日も関東の患者さんからご連絡があり、何だか苦しくて仕方がない、どう
したら良いのでしょうかとのことで、お聞きしますとかなり高度の脱水で
もう少しのところで熱中症、即入院の手前の状態でした。猛暑日の真昼の
炎天下で4時間も仕事をして、その間、コップ1杯の水を飲んだだけ、となれば
70代の方には危険な状態でした。お役に立ててうれしく思いました。

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さて私の方は今月から大阪の医誠会病院というところへ異動し仕事を始めました。
以前の病院でも現場では大変良くしていただき、現在も交流があり感謝して
います。
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2015/06/jinsen-hosp.html

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医誠会病院は大阪を拠点に9つの病院を展開しているグループで、20年30年
以上の未来を見据えた運営を進めています。理事長の谷幸治先生との面談の際、

その将来性方向性に感心しました。

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今から25年ほど前、北米ではこれからの医療とはメディカルケアではなく
ヘルスケアだと教えられました。つまり病気になった方を治すだけでなく、
病気が再発しないようにする(二次予防)、新たな病気で困らないようにする
(早期発見)、そもそもどんな病気にもなるべくかからないようにする(一次
予防、健康増進)、安心して活き活きと生きる、などをセットで考えるという
ことです。

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それらを個別に対応するのではなく、病院グループで統合して行う、それが
ヘルスケアだと教えられたものです。それを日本ですでに長年実践しておられる
というのは大変な先見の明と思いました。それも医師や看護師、事務などの
職員がそれぞれの専門領域を超えて不慣れな仕事をする日本の現状から抜け出し
て、専門職員を配置してプロの対応をするというのはお見事と思います。

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早速緊急手術を担当する機会がありました。最近医師のメンバーチェンジなどが
あり、しばらく大きな手術を控えておられたようですが、これからスムースに
展開できる、十分なチームであると感じました。長年の友でもある氏家部長と
がっちり協力して充実した時を過ごせそうです。

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また看護師さんや臨床工学士さんらを含めたコメディカルの皆さんも前向きで、
私の立場は彼らに負担がかかりすぎないように配慮しながら立派なユニットに
育てる、その手助けをすることと思いました。

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医誠会病院で傷跡の見えにくいMICS手術とくに弁形成術、心筋症や心不全で
お困りの患者さん、成人先天性心疾患の方、心臓腫瘍の方などにお役に立てれば
うれしいことです。
もちろん地域医療として救急、内科系や外科系などと協力して地域の患者さんを
御守りするのはいうまでもありません。

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なお仁泉会病院での外来はおかげさまで好評でもあり、これまでどおり続けます。
手術時間確保のため、火曜日と木曜日の午後に行っていたものを午前に移動し
ましたが、もう少し微調整し、なるべく患者さんのお役に立ちやすいように
と考えています。

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まだ猛暑に対する注意が必要です。皆さん、ご自愛ください。

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敬具

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平成28年8月21日

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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