Aさんは60代女性でいつも知的生活や美的センスを大切にする方です。心臓手術に際しても夏服が着られるような創でお願いしますというお気持ちがわかりましたので、僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症に対する手術をお引き受けしました。
術中は弁そのものが壊れていたため、そしてご年齢から生体弁が有利と判断し、これをもちいて僧帽弁置換術を行いました。
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医学的理由からポートアクセス法は使わないほうが安全という判断で、正中での小さい創のミックス手術を行いました。
その結果、心臓はすっかり良くなり、お元気になられましたが、創もかなり小さくかつ低くでき、夏服やTシャツを着ても見えないレベルにできました。
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Aさんの美的感覚にお応えでき、うれしく思いました。「夏服が着られる心臓手術」とはAさんから戴いたお言葉ですが、人間、何歳になっても美しく、立派に暮らしていく、そうした哲学を持つことが素晴らしいと感嘆しました。またひとつ勉強させて戴きました。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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