僧帽弁閉鎖不全症、、患者さんの想い出2

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Bさんは50代男性、有名国立大学の文化系の教授でした。

Ilm01_ab05023-s前から僧帽弁閉鎖不全症と言われていたそうですが、有名人でお忙しく、また勉強熱心で弁や心臓手術のこともある程度知っておられたため、いっそう決心がつかなかったようです。とくに人工弁つまり弁置換術になることを恐れておられたようです。以前の担当医に弁形成は難しいのでは、と言われていたからです。

次第に心不全が悪化し、私の外来に来られたときにはBさんの僧帽弁はすごい状態になっておられました。

つまり、弁を支える糸が切れた部位だけでなく、そこら中が変化し壊れていました。いわゆるバーロー症候群に近い形ですが、以前のエコーではそれほどの変化がなかったことから、二次的に変化したものと考えられます。

ともあれ、僧帽弁形成術を完遂することはBさんの切なる願いでしたので、私も力を入れて前尖も後尖も数か所修復しました。前尖の三角切除、後尖の四角切除、ゴアテックス人工腱索その他を駆使して弁はきれいに作動するようになりました。

Bさんは笑顔で退院して行かれました。このようによく勉強してから来院される患者さんのご期待に沿えるというのはいっそうの喜びです。Bさん、健康でますますご活躍ください。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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