サルコイドーシス心筋症、、患者さんの想い出

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B 023さんは30代前半の女性です。サルコイドーシス心筋症(サルコイド心)のため心室中隔が瘤化し、かつ機能性僧帽弁閉鎖不全症が合併していました。

看護師という忙しいお仕事を以前のようにこなせなくなって来院されました。心不全が進行していたのです。

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左室機能も駆出率で正常の半分まで低下し逆流も高度になっていました。

これでは仕事はもちろん、健康もまもれない状態でしたので、心臓手術することになりました。近い将来の妊娠出産をも考えると、このままでは危険と言う判断ができたことも一因です。

オペといってもサルコイド心でよくやられる心室中隔(右下写真の矢印)の形成は心臓の神経があるところなので、それを傷つける恐れが高く、そうなると永久ペースメーカーが必要となります。患者さんのご希望でペースメーカーだけは絶対避けたいとのことでしたので、今回は僧帽弁だけを治すことにしました。

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僧帽弁輪形成術で弁輪をリングで小さくし、かつサルコイドーシス心筋症で起こる心室のゆがみのため、乳頭筋という弁を支える筋肉の位置がずれているための逆流なので、腱索という弁を支える糸を人工腱索をもちいて長さ調整(通常とは逆の方法で)することで弁逆流を止めました(右写真の下図)。

弁はきれいに作動するようになりました。まもなくお元気に退院され、仕事にも復帰されました。外来で定期健診をする中で、術後2年ほどの間に、左心室はかなり改善し、駆出率も50%台にまで回復しました。これなら心室中隔の瘤もほとんど気にならないというレベルまで持ち直したのです。

これは上記の心臓手術で僧帽弁閉鎖不全症が治り左室の負担が取れたことと、術後の粘り腰で使ったお薬の効果が出たことが役立ったと思います。

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手術から3年半経ち、患者さんから結婚しましたというご報告を、笑顔で戴きました。

現在の心臓なら妊娠出産も安心してできます、ぜひかわいい赤ちゃんを早く産んで下さいとお願いしました。

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執筆:米田 正始
医誠会病院スーパーバイザー 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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