東日本大震災の被災者の皆様へ

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■(お知らせ) 東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。著者がおります施設では心臓血管外科や循環器の患者さん、あるいは心臓手術を希望される方を施設能力いっぱいまで、いつでも受け入れております。遠慮なくご相談ご連絡ください。(詳細は左段下のコンサルテーション・お問い合わせの項をごらんください)

東北関東大震災は世界最大規模の大地震と津波さらには原発の事故のために大変な被害をもたらしています。被災者の方々には心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い立ち直りを祈念いたします。またできるかぎりの支援を行っていく所存です。

さて医療関係者として何か少しでもお役に立ちたく、以下の解説をお書きしました。多少でもお役に立てればうれしいことです。

地震や津波、余震などへの対処法はその専門家や専門書、専門サイトにお任せするとして医療の観点からお勧めしたいことを簡略にまとめてみます。

Cgrc002-s 1.クルマなどで仮生活をする場合、あまり体を動かさないとき、トイレが不便であまり水分を摂らないときに、肺塞栓症の注意が必要です。急に息苦しくなったり息を吸う時に胸が痛くなったら要注意です。これにつきましてはこのホームページの肺塞栓症の項をご参照ください。対策はまずクルマの生活を止めることです。そして水分をしっかり摂り、定時的に歩くか、下肢とくにふくらはぎの筋肉をしっかり使うような運動をすることです。お茶や水、スポーツドリンク、それらがなければジュースその他も役立ちます。但し糖尿病の方は糖分が多いものはほどほどに。高血圧のかたはスポーツドリンクから塩分が入ることがあるため適宜お茶や水をまぜる(交互に飲むなど)のが良いでしょう。

Ilm09_ac04001-s 2.地震や避難の際にお怪我をされた方は、傷をまず流水できれいに洗い、消毒し、なるべく早く医師や看護師などにご相談下さい。土が傷についている場合は入念に洗い落して下さい。土には多量の細菌がいるからです。またとくに傷が湿っているときやうみなどがでるとき、あるいは発熱などがあるときは要注意です。地震のときに筋肉を強く打った方はすぐ病院へ。まもなく腎不全などに進むことがあります。

3.もともと内蔵の持病をお持ちのかたは、地震・津波・避難所生活などのストレスのため、病気が悪化すること Ilm09_ah06003-s がよくあります。早めに医師または近くにいる看護師などにご相談下さい。それまで飲んでいた薬が切れるときも早めに周囲の方にご相談されるのが良いでしょう。血液透析などを受けておられた方は周囲の方に相談し、もとの病院と急いで連絡をつけて下さい。

高血圧などはこうした状況では平素より高くなりがちです。あまり高くなると心不全や脳出血その他の合併症がおこります。心臓や肺の病気があるかたはそれらが悪化することがあり、症状が強くなるようでしたら早めに医師か周囲の方にご相談下さい。

Ilm05_cb02023-s 4.避難所やクルマの中は寒かったり、乾燥することがよくあります。風邪やインフルエンザが流行することもあります。そこへ食事不足や疲労・ストレスなどが重なって風邪をひいたり、こじらせて気管支炎・肺炎になることもあります。食料があればもちろんしっかり食べるのが良いのですが、水分をしっかり摂るだけでもずいぶん違います。またマスクをつけるか、マスクが無いときにはマフラーかタオルか布きれでも顔にかるくかければ、吸う空気が温かく湿度も高くなり肺や気管支が守られやすくなります。さらには呼吸による水分の喪失も減り、水が十分ない状況では脱水をそれだけ軽くします。

Ilm19_cb01038-s 5.食べ物はごはんやパン類、野菜や果物類、肉や魚類などをバランス良く摂るのが理想ですが、何しろ大震災のあとで制約がきびしいことが多いと拝察いたします。そうした場合でも、まず上記の水分を摂ればかなり体調は維持でしますし、ごはんやパン類を食べることで体の筋肉を分解してエネルギーを得る反応が減り、結果的に肉や魚類を食べたのに近いメリットが得られます(タンパク温存効果と呼びます)。この意味ではお菓子類も食べる意義があるのです。とりあえずは入手できるものを食べて、水分もできるだけ摂って、体調を整えましょう。なお糖尿病などの患者さんはできるだけ早く医師か医療関係者にご相談ください。

Sct052b-s 6.精神衛生も大切です。家やご家族を失ったり行方不明の状況では一層ストレスがかかります。できるだけ周囲の方々と語り、協力し、明るい雰囲気のなかで生活していただきたいものです。気持ちがどうしても暗くなるときは、少し落ち着いたところでカウンセリングなども良いでしょう。お風呂が入れない状況では体を拭くだけでもかなり気持ちが良くなります。

7.しかし避難所などではプライバシーが確保できずつらいものがあります。段ボールで授乳・着替えなどのプライバシー空間を作る、いびきで周囲に申し訳ないときはなるべく横向けに寝る、あおむけでも枕(頭部)を高くするなどの工夫は可能です。周囲が明るく騒がしいときは毛布か布きれを顔にかければ4.の加湿加温とともに一石二鳥の効果があります。赤ちゃんが泣いて困るときもせめてつい立てになるものを作れば少しは違います。プライバシーが得られないためクルマ内生活を選ぶ方もあるようですが、1.の肺塞栓などの問題があり極力避けて下さい。やむを得ないときでも、せめて下肢を体より高く上げる時間を作ったり頻繁に歩くなどの工夫をし、できるだけ早く平らなところで寝るようにして下さい。

Ilm07_da03005-s 8.不運なことに今回の地震のあと数日経って冷え込みが予想されています。低体温症は命にかかわる怖い状態です。お年寄りやこどもの皆さんはとくに注意してください。水分をできるだけしっかり摂る、もちろん食料があればなるべく食べる、上記のように体を適宜動かすなどを基本にします。床が冷たいときにはかなり熱を奪われるため、断熱材になりそうなものをたくさん床に敷いて下さい。頭から多量の熱が放散するため、頭にかぶる帽子類は大変有効です。上記のようにマスクも役立ちます。毛布は複数の人間で一緒にくるまるとより効果的です。それでも意識がうすれてくるなどの症状がでれば周囲の方に相談し、可能なら病院へ。

9.なお被災する前の準備としてはこれまで多くの本やサイトで紹介されているように、水の確保や必要な食糧、装備の準備はしておきたいものです。

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米田正始   医誠会病院スーパーバイザー 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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