【第四十四号】 文芸春秋に掲載されました

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 【第四十四号】
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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春の日差しが心地よいと思ったら、嵐のような強風が吹いたり、まだ冬の名残

を感じるこのごろですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

私のほうは相変わらずばたばたと落ち着かない毎日です。先日は沖縄からまた

患者さんが来て下さり、危篤状態から頑張って手術し、リハビリや栄養その他

さまざまな努力のすえ、笑顔で帰島して頂きました。

歴史的ないろいろなことから沖縄の方々にどんなことでもお役に立ちたいと思

っていた身には大変うれしいことでした。

こちらをご参照ください
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2013/04/casereredoimr.html

ところで文芸春秋の5月号に米田正始の記事が掲載されました。ご笑覧頂けま

したら幸いです。

そのさわりの部分は私のHPに載せました。
https://www.shinzougekashujutsu.com/web/2008/01/post-0f92.html

高齢者の方々への医療については、世界的にも議論があります。

とくに国や社会が経済的に苦しいところでは、高齢者の医療費を削減しようと

する動きが絶えません。

たしかに医療費をある程度の範囲に抑えて、社会の足かせにならぬよう、さま

ざまな努力をやって来ましたし、今後もそうだと思います。

しかしもはや社会の役に立たなくなったからと言って、保険や福祉を打ち切る

のには抵抗を感じます。

私の恩師であるトロント大学・心臓外科のデービッド先生はかつて言われまし

た。

「年寄年寄と言うが、この人たちが何十年も税金を払い、家庭を支え、地域に

尽くし世の中に貢献して来たことを忘れて良いのか」と。

加えて高齢者を切り捨てる世の中になってしまうと、次に狙われるのは身体障

害者や難病の患者さんをはじめ、社会的弱者となるおそれがあります。

際限なく人間性を失い、孔子の言うケダモノ社会に堕ちて行くことを心配しま

す。

そういう気持ちもあって、心臓外科の立場から、高齢者でも生きたい方、また

ご家族から見て生きて欲しい方には分け隔てなく治療するのが筋と思っていま

す。

もちろん経済が破綻してはそれが成り立たなくなるため、皆で経済を守る努力

を続けるのも大切ですが。

文芸春秋の記事がこうしたことを考えるきっかけになれば幸いです。

敬具

平成25年4月11日

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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