最終更新日 2025年9月15日
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◆ 心不全パンデミックの時代に
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近年、心不全は「心不全パンデミック」と呼ばれるほど患者数が増加しています。
そのなかで「心臓移植しか道がない」と宣告される方も少なくありません。
無事にドナー心が見つかり、移植を受けられた方は安堵されますが、現実にはドナー不足が深刻で、多くの患者さんが待機中のまま時間を過ごしています。
また補助循環(補助人工心臓:VAD)で移植までつなぐ方法もありますが、
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医療費の負担が莫大
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感染や合併症のリスク
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社会的・家庭的条件による制約
といった課題が多く、日本の医療保険制度でも大きな負担となっています。
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◆ 「もう看取りしかない」と言われた方へ
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移植が適応外とされる理由には、
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ご家族のサポート体制がない
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糖尿病や他の持病
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著しい肥満
など医学的・社会的要因も含まれます。
その結果「治療法なし」「看取り」と言われてしまう患者さんが少なくありません。
しかし、本当にそれだけしか選択肢はないのでしょうか?
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◆ 手術で社会復帰した患者さんたち
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私たちの外来には「打つ手なし」と言われた患者さんが数多く来られます。その中には、新しい手術で社会復帰できた方々がいます。
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患者さん1:拡張型心筋症(DCM)+機能性僧帽弁閉鎖不全症
有名病院で「不治の病」とされましたが、**デュアル形成術(乳頭筋最適化+新しい左室形成術)**で手術後に元気に仕事復帰。 -
患者さん2:急性大動脈解離術後の虚血性心筋症
大学病院で「薬以外に治療なし」と言われていましたが、僧帽弁形成+左室形成術で改善し、社会生活に復帰。
👉 詳しくはこちら → デュアル形成術について
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◆ 新しい治療 ― デュアル形成術と左室形成術
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「心尖部を切る左室瘤手術は心不全には向かない」と誤解されることがあります。
しかし私たちが行う新しい左室形成術は従来の瘤切除とは異なるコンセプトで、心機能の改善を目的とした再構築手術です。
特に
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拡張型心筋症(DCM)
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虚血性心筋症
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機能性僧帽弁閉鎖不全症(FMR)
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虚血性僧帽弁閉鎖不全症(IMR)
などで「移植しかない」と言われた患者さんでも、移植以外の選択肢が存在する可能性があります。
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◆ 諦める前にご相談ください
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入退院を繰り返している心不全患者さん
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「次の入院が最後かもしれない」と不安を抱える方
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移植待機中だが先が見えない方
こうした患者さんこそ、一度は外科的治療の可能性を検討することが重要です。
心臓移植や人工心臓だけが希望ではありません。
私たちは「ネバー・ギブアップ」の精神で、命と生活の質(QOL)を守るための外科治療を提案しています。
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心臓外科手術のお問い合わせはこちらへどうぞ
患者さんからのお便りのページへ
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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