お便り138 意を決して転院しMICSで大動脈弁置換術を受け、間も無く仕事復帰

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心臓病の患者さんにとって心臓手術を受けるというのは大変なことです。それこそ清水の舞台から飛び降りるような覚悟で手術に臨まれるように感じます。だから私たちも信頼に応えるのだという信念を持って手術や治療に当たらねばなりません。

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IMG_1683次の患者さんは二尖弁で高度の石灰化を来たし、来院された時には突然死の恐れさえあるほど大動脈弁が狭くなっていました。しかも、肥大型閉塞性心筋症(略称HOCM)を合併し、二重に危険な状態になっておられました。

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他府県からお越し下さいました。聞けば近くの病院では正中切開で骨を切って心臓に達する方法で、機械弁で弁置換するしかないと言われ、それでは困るということで大阪の私の外来まで来られました。

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MICSの大動脈弁手術は私たちが得意としている手術の一つですが、一般にMICSがやりにくいと言われている体型だったため、工夫を凝らして手術しました。大動脈弁だけでなくHOCMもあったため、それぞれの病気に対する経験を活かして対応しました。

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手術室で少々苦労しましたが、その後の患者さんの体力回復は目覚ましく、手術室での苦労が報われた思いでした。痛みもほとんどなく、MICSの良さが十分に生きる手術になりました。

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以下はその患者さんからの感謝のメールです。これから活発な生活と仕事を楽しんでください。

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********** 患者さんからのお便り ********

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米田先生

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このたびは、大変お世話になりました。
おかげさまで、本日から仕事に戻ることができましたので、報告させていただきます。

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8月2日に心臓手術を受けてから、3週間もたたずに職場に顔を出しましたので、周囲や取引先からは大変驚かれておりました。
これも米田先生からMICS手術を受けられたおかげです。

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大動脈弁狭窄症については、長年他病院で経過観察を受けておりましたが、昨年12月に手術適応であると言われておりました。
年齢を考慮して、生体弁の耐用年数が短いため、機械弁が第一選択肢になり、また術式としては、胸骨正中切開のため、術後半年ほどは重たいものが持てなくなると言われて、将来にわたってのワーファリンの定期的な服用や運動制限に抵抗を感じて、自分のなかで納得できないものがあり、日々の仕事が忙しいのにもかまけて、なかなか手術に踏み切れずにおりました。

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そんななか、ホームページや書籍で個人的にいろいろ調べておりましたら、たまたま米田先生のホームページに辿り着きました、何回かメールで質問させていただいて、そのたびにお返事をいただき、外来では自己弁形成の可能性も伺うなかで、ようやく心臓手術を受ける覚悟ができまして、最終的に米田先生に生体弁への置換をお願いすることになりました。

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術後、家族から手術当日の状況を聞きましたが、弁の石灰化等が進み、予想以上に大変な状況であったとのこと。
そんななかで、限られた時間で閉塞性肥大型心筋症等の処置も併せてしていただき、大変感謝しております。

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また、入院加療中は、他の先生方、臨床工学技士、看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士の方々にも大変お世話になりました。
医誠会病院の皆様が医療従事者としての矜恃を持って、日々患者に対して親身に接しておられるのを見て、頭が下がる思いでした。

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皆様のおかげで、せっかく元気になった心臓ですから、できるだけ長持ちするように大切にしていきたいと思います。
今後は引き続き外来で、よろしくお願い申し上げます。

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暑い日がまだまだ続きます。
米田先生におかれましてもお身体ご自愛くださいませ。

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ありがとうございました。

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平成30年8月20日 ** **

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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