バチスタ手術、患者さんの想い出 2

Pocket

Bさんは滋賀県在住の50代男性ですが、大きな心筋梗塞を患われ、左室が大きく壊れ、そのため僧帽弁閉鎖不全症も合併し、ショック状態で当時勤務していた京大病院へ来られました。

このままでは危険な状態なので、緊急手術することになりました。

大きな心筋梗塞であちこちが壊れているため、安全を確保するため時間が許す範囲でできるだけそれぞれを治すことにしました。

まず左室は左室前壁と側壁の2か所でやられていたため、それぞれにセーブ手術とバチスタ手術を行いました。

さらに僧帽弁形成術を行い、冠動脈バイパス手術を加えて左室をできる限り回復するようにしました。

三尖弁も壊れていたため三尖弁形成術を併用しました。

これらの操作のほとんどを心拍動下に行い、心臓を守るようにしました。バチスタ手術は左室を治すだけでなく僧帽弁形成術をより効果的にするために行いました。なおこのバチスタ手術は私たちが改良した心尖部温存式のもので、手術後の心機能の良さが期待できます。

大変危険な状態からのスタートでしたが、患者さんは立派に回復し、お元気に退院されました。心機能もずいぶん改善しました。

以後も外来に定期健診に通院しておられますが、タバコがなかなかやめられないご様子で、これを含めてさらに状態を良くしたく考えます。

.

Heart_dRR
お問い合わせはこちらへどうぞ   .

pen

患者さんからのお便りのページへ

セーブ手術へ行く

 心筋症・心不全 にもどる

Pocket

----------------------------------------------------------------------
執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
----------------------------------------------------------------------
当サイトはリンクフリーです。ご自由にお張り下さい。