3.新型インフルエンザについて (2009.10.25.改訂しました)

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新型インフルエンザが大流行しています。

当初はたとえ感染する力は強くても弱毒のためそれほど怖くないという意見もありました。

新型インフルエンザにご注意をキシコなどで死亡者が出ていたのは医療態勢や貧富の差などの社会的要因によるという見方もありました。

しかし先進国でもこれまでのインフルエンザの3倍以上の死亡率が報告され、

日本でも次第にその怖さが判明しつつあります。

 

10代の学生さんに代表される若者それも体育会系の元気な若者に多数感染したり、

若年の患者さんにまで死亡者が出ています。

 

夏はインフルエンザにやられにくいのですが、、、感染力つまり流行しやすさについても、

夏はインフルエンザウィルスが活動しづらく、かつ人体も温度や湿度などの条件が人体に好都合なためウィルスにやられにくいのですが、

これから次第に冬が近づくにつれて爆発的に流行するという懸念がでています。

 

すでに厚生労働省その他から予防策が発表されています。

 

こうした感染性疾患は完全に予防するのは難しいのですが、

流行を少しでも弱め、ウィルスへの「被爆量」を減らし個人をできるだけ守るという意味で、

やはり努力する意義は大きいと考えられています。咳にご用心

 

1.空気中の飛沫感染を防ぐという意味で、

人混みを避け、とくに咳をしている人からなるべく距離を置く。

1m以上離れることがWHO世界保健機構では推奨されています。

 

マスクは有用です2.マスクはN95でなくても意味はあります。

普通のマスクはウィルスをブロックできないのですが、

インフルエンザウィルスは高湿度に弱く、

マスクを着用することで気道内の湿度が上がり、ウィルスは弱り、

気道粘膜細胞は元気になります。

 

3.手洗い は意外なほど有用です。

ウィルスがドアの手すりや吊革その他あら ゆるところについている可能性があるため、

帰宅時などに石鹸で時間をかけて手を洗うことで体内に侵入するウィルスの量を減らせます

 

うがいもやって良いことです4.うがいは万能とは言えずとも有用です。

私見ですが、鼻のうがい、つまり鼻の比較的奥まで水を入れて出すことができる方にはそれを勧めています。

鼻のうがいがやりづらい方には花粉症用の鼻内スプレーをお勧めしています。

これなら誰でも鼻のうがいができるでしょう。

 

5.もともとインフルエンザウィルスはこどもたちが学校でもらって来て家に持ち込むという傾向が強いものです。

手洗いやマスク着用をこどもさんたちにもできるだけやってもらうことも有用でしょう。

 

6.熱が出たり調子がおかしいときは早目に医療機関に相談し、

新型インフルエンザの診断がつけばタミフルやリレンザなどの抗ウィルス剤を早く使うことで重症化を減らすことが可能です

 

7.心臓血管外科関係の患者さん とくに心不全糖尿病、腎機能障害・慢性血液透析心臓の悪いかた弱いかたは新型インフルエンザにご注意を。心配なときはご連絡下さい 肝機能障害などの基礎疾患をお持ちの方ほど上記の注意をお願いします。

もし不幸にして新型インフルエンザに罹患した場合でも、

ウィルスを抑えるだけでなく、できるだけ栄養を取り、食べられない場合は点滴などで脱水を防ぎビタミンを入れしっかり全身を守れば有利な方に動くでしょう。

上記タミフルリレンザの早期投与も有効と考えられています。

心不全や糖尿病など基礎疾患を安定化させることも重要でしょう。

 

これまでのデータでは肺炎を併発する患者さんの死亡率が高いため、

肺炎を防ぐために、もしインフルエンザにかかったら、体の向きをできれば毎時間でも変え、

深呼吸をちょくちょく行い、水分を十分に取り(可能なら牛乳や糖分の多いジュースを)、

部屋を加湿するなども有意義でしょう。

 

10年ほど前に、慢性透析でご高齢かつ心不全著明な患者さんにオフポンプバイパスを行い、もともと状態の悪い方でしたので、手間暇かけて元気になっていただきました。

ところが退院した次の冬に流行したインフルエンザに罹患し、

肺炎を併発して地元の病院であっという間になくなられたというつらい経験を想い出します。

 

予防接種はできるだけ受けましょう8.予防接種はできるだけ受けて頂きたいのですが、全国的に供給態勢がまだ進んでいません。

かかりつけの先生にもご相談いただき、入手できれば受けましょう。

なお肺炎球菌ワクチンは新型インフルエンザそのものには効きませんが、合併症としての肺炎が防げればメリットはあります。

できればこの予防接種も受けるのが勧められると思います。

 

9.平凡なようでも野菜を含めたバランスの取れた食事や、十分な睡眠なども有意義です。

 

心臓血管外科関係の患者さんにおかれましては上記の予防策と早目の相談でしっかりお体を守って頂きたく思います。

 

2009年8月29日 記

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追記

その後2カ月近くが経過し、新型インフルエンザは学校やこどもを中心に流行しています。

アメリカではすでに1000人の方が亡くなられ入院患者も2万人を超えました。

オバマ米大統領が10月24日に、新型インフルエンザ(H1N1型)のための国家緊急事態宣言を発表したほどです。

 

また日本国内では20歳以上の年齢層では季節型インフルエンザの予防接種で新型にもかなり効くという報告がされ、

おそらく20年以上前に新型インフルと似た遺伝子のインフルエンザが流行したためと考えられています。

逆に20歳以下の若者やこどもの患者数は急増しており、免疫抵抗力が少ないと考えられますのでご注意ください。

 

新型インフルエンザではが主にターゲットになっており、肺炎を予防することが肝要で、

上記のように加湿を考えたマスクや部屋の加湿、

十分な水分摂取(脱水の予防、発症後水分が飲めないときは必要に応じて点滴なども)なども有用と思います。

 

ともあれ皆さまには恐れず、油断せず、そして発熱などおかしいと感じたらすぐに信頼できる病院・医院や医師にご相談下さい。

 

2009年10月25日 記

 

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執筆:米田 正始
医誠会病院スーパーバイザー 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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