2010年1月30日 CCT Surgical に参加して

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(本日のブログはやや専門的と言いますかやや医療者向けです。一般の皆さま、お許しを)

CCT学会(Complex Cardiovascular Therapeutics 複雑な心臓血管病治療学会)の今年の総会が神戸の国際展示場で行われ、世話人ということもあり、参加して来ました。

この学会はもともとカテーテル治療の先生方がライブ治療を軸としてスタートされたCCICという学会が発展して現在の国際的学会になったもので、比較的早い時期から心臓外科部門も発足し共に進んで来ました。

私たちの心臓外科部門はCCT Surgical と呼ばれて、一部門を担っています。例年ライブ手術を数例行い、多くの質問やコメントなどでディスカッションし、実地即応の勉強ができると好評です。

3次元放映システムを説明する中村康則さん(FAシステムエンジニアリング社)一日目(昨日)は手術に工夫を要する弁や冠動脈・大動脈などの石灰化病変に対してビデオで好手術を供覧して戴き、多くの先生方に良い勉強になったと言って頂きました。

ビデオ講演をして下さった天野篤先生(順天堂大学教授)、岡田行功先生(神戸市立医療センター中央市民病院)、高梨秀一郎先生(榊原記念病院)、大川育秀先生(豊橋ハートセンター)に深く感謝申し上げます。

午後のチャレンジャーズライブでは最終選考に残った4名の若いサムライ達が腕を競いました。皆立派でした。南淵明宏先生(大和成和病院)と私、米田正始で座長をやらせて戴きましたが、私たちベテランにとっても良い刺激を戴き、勉強になったと思います。

さて本日、2日目のライブにつきまして、今年は新しいテクノロジーである3次元放映をもちいた初めてのライブ手術を行いました。画像の美しさと立体感については前もって実験していましたので自信がありましたが、どの程度の教育効果がありどのくらい受け容れて頂けるかは不明でした。

今回は新しい方式でお金もかかるため、いつもの2元中継から1元(大和成和病院)に集中し、2例のみの放映としました。その分をじっくりと議論しようというわけです。三次元放映中の手術室風景

ライブ手術の1例目は慢性腎不全・血液透析の患者さんに対するオフポンプ冠動脈バイパス手術で大和成和病院・奥山浩先生の執刀でした。

バイパスに使う左内胸動脈グラフトを剥離するところから皆でしっかり見て議論し、さまざまなコメントや質問も頂きました。

座長の渡辺剛先生(金沢大学教授)がロボット手術の経験から3次元カメラに詳しいため、今回の3次元放映システムに役立つ貴重なご意見を頂きました。

 

もう一人の座長である荒井裕国先生(東京医科歯科大学教授)は心臓手術用デバイスを発明し商品化する経験が豊富なため、物作りの観点からもご意見を頂きました。

機械好きな横山斉先生(福島県立医科大学教授)や山崎文郎先生(静岡市立病院)、藤松利浩先生(相澤病院)、道井洋史先生(北海道大野病院)はじめコメンテーターの先生方からも良いコメントを多数頂きました。2本のバイパスがきれいに付き、手術はスムースに完了しました。
特殊メガネをつけて3次元ライブに見入る先生方

ライブ手術の2例目は感染性心内膜炎(略称IE)に対する僧帽弁形成術、大和成和病院・倉田篤先生の執刀でした。

僧帽弁形成術では通常以上に術野の展開(手術部位を良く見えるようにすることです)が大切であるため、3次元画像を見ながら内容ある議論ができました。

僧帽弁そのものは感染部位に穴があき、そこから血液が逆流するタイプで、その部を直接閉鎖して、リングを縫いつけて弁輪を適正化して完成しました。

座長の浅井徹先生(滋賀大学教授)と私、米田正始のどちらもこうした手術を多数手がけているためちょっとしゃべりすぎたきらいはありましたが、コメンテーターの先生方も前向きに意見を出して戴き、良い内容となりうれしく思いました。

新東京病院の山口裕己先生からは新しいリングの解説を、樋上哲哉先生(札幌医科大学教授)には逆行性心筋保護の工夫などもコメントを戴き、盛り上げて頂きました。

伊藤敏明先生(名古屋第一日赤)、小宮達彦先生(倉敷中央病院)、入江博之先生(近森病院)はじめコメンテーターの先生に大変お世話になりました。コメンテーターの先生方.特殊メガネのためか怖く見えます


3次元放映ライブは鮮明な画像が立体的に見え、教育効果が高いという印象を得ました。

遠近感がやや誇張される 傾向がありましたが、これは調整すれば良いものと思います。

普通の二次元放映より少し目が疲れるかも知れませんが、それだけ得られる情報は多いとも言え、勉強には有用なツールと思います。

若い先生からは今後こうした方法で外科教育ビデオなども作ってほしいというご希望もあり、発展性を感じました。

 

今年もCCT Surgicalは盛会の中で内容ある勉強と交流の場を提供できたことをうれしく思います。当番世話人の大川育秀先生、お疲れ様でした。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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