腹部大動脈瘤の治療ガイドライン

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Ilm19_ca06026-s腹部大動脈瘤はある程度の大きさになると急に破れやすくなる病気です。

いったん破れてしまうと病院にたどり着くまでに死亡したり、到着しても全身状態が悪化して手術の成績は極めて不良です。

その一方、状態が良いうちにゆうゆうと手術すれば死亡率はほぼゼロまで良くなっています。

こうした状況を考えてガイドラインが作られています。手遅れにならぬように、しかしまだ不要な手術や治療を避けられるように。

 

日本循環器学会のガイドライン、非破裂腹部大動脈瘤手術適応から、抜粋要約します

 

図1bクラスI つまり手術を強く勧められるのは

男性で瘤の最大横径>5.5㎝

女性で瘤の最大横径>5㎝

 

クラスIIa つまり手術を勧められるのは

最大横径>5㎝ か瘤の拡張速度>5mm/6か月か

腹痛・腰痛。背部痛などの有症状あるいは

感染性動脈瘤

 

クラスIIb つまり手術はケースバイケース、よく検討してから、は

最大横径4-5cmで

手術危険度が少なく生命予後が見込める患者で、経過観察のできない患者

 

詳しくは日本循環器学会のホームページなどをご参照ください。

およそ5cmを超えれば注意し、専門家と相談することが安全でしょう。

 

メモ: 腹部大動脈瘤が上記のように大きくなり手術が必要な場合にも、現在は従来型の手術と、お腹を切らずに行えるステントグラフト(略称EVAR)があります。

さらに、手術の場合でも皮膚を小さく切り、苦痛が少なくてすむ方法が使えます。

そこで創よりもいのちを優先することが患者さんにとって、やりやすくなりました。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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