お便り66: バルサルバ洞破裂と心室中隔欠損症などを克服した患者さん

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バルサルバ洞破裂はときおり見られる病気です。

大動脈の一番つけねのところの膨らみをバルサルバ洞とよびますが、これがなんらかの理由でこぶのように広がり、ついには破れる病気です。

心室中隔欠損症(略称VSD)などの病気に合併することも多々あります。

Ilm23_cc01001-s以下の患者さんは遠方の北関東地方からお越し下さいました。

地元では手術ができないということで、ましてミックスの小さい創での手術はあり得ないと言われてのご来院でした。

通常、バルサルバ洞瘤破裂といえば、患者さんは倒れたりショック状態になっての緊急手術が多いと言う印象がありますが、この患者さんの場合は徐々に破れたためか、比較的穏やかに心不全が発生していました。

手術では心室中隔欠損症の大穴をパッチで閉じてバルサルバ洞も治し、これによって大動脈弁もゆがみが取れてその逆流も軽微になりました。

3つの病気が全部治り、人工弁による弁置換も回避でき、しかも小さい創で手術が完了したため大変喜んでいただきました。

遠方から来ていただくだけに地元ではできない良いものをと念じていましたので、うれしい限りです。

以下はその患者さんからのお便りです。

 

********* 患者さんからのお便り **********

 

先生、この度は大変お世話になりました。
一昨日帰宅予定でしたが、
名古屋駅の人混みと猛烈な暑さに尻込みしてしまい
一旦ホテルに避難・・・
昨日友人にサロンカーで迎えに来てもらい、
フラットなシートで涼しく帰ってきた次第です。

おかげさまで手術後の痛みも、
つらかったのは翌日まで。
合併症なども全くなかったそうで、
大変な手術を受けたとは思えない回復ぶりです!

 傷跡も小さい上に全く目立たず、
その点もとても前向きになれる要因です。

退院前に実際のエコー画像を見せて頂きながらの
丁寧な説明をして頂き、
全く問題なく治っているとのお言葉、
本当に感謝しております。

週明け早々に****病院で、
継続観察と投薬をお願いしに行ってきます。

森の中を愛犬と散歩してリハビリにも
励みたいと思っております。

名古屋の暑さにはびっくりです。。
先生もお体に充分お気を付けください。
本当にありがとうございました。

定期健診でお会いできればと思っております。

         8月23日 


****2年後、フェイスブックに載ったご意見です

お元気で仕事に楽しみに活躍しておられる由、うれしいことです****


気が付けば8月9日。
二年前の今日心臓が生まれ変わった日です!

胸骨を切り裂かれ、身体中を管に繋がれていたあの日。
今思い返しても、やっぱり我慢できない苦痛は無かったなぁ♪

お見苦しく痛々しい写真ですが、本人は大丈夫でしたー。

**今更のように感じます、良かったですね♪

** 50年間使ってきた心臓と
二年前からリセットされた心臓は別物に感じます♪

** 2周年おめでとうございます。**さんの決断と頑張りの賜物です。ちなみに骨は手術前より強くなっていてワイヤーのところなどはピストルで撃たれても耐えられるかも知れませんよ。

** 先生!感謝いたしております♪
以前と比べ、静かすぎて物足りないほどです(^^)
先生が約束してくださった通り

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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