心臓外科ではハートセンターのような専門病院は有利なの?

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Ilm17_ca06004-s心臓外科や心臓血管外科で、なぜハートセンターが良いのですかというご質問を受けることがあります。

答えはいくつもあります。

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もともとハートセンターは従来の総合病院や公的病院では患者さん中心の医療がやりにくい、いっそ民間の専門病院で一からやりなおそう、という考えからスタートしています。

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心臓手術には迅速さと精密さが求められます。また手術や入院までの待ち時間が長くなるとその間の死亡率が増えることもあります。

こうした点でハートセンターのような専門病院は有利です。

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Ilm17_ca05005-sたとえば外科は心臓外科しかないため、他の科や他の部門に遠慮することなく、必要な手術を必要なタイミングで行いやすいのです。

実際、大病院では緊急手術といえば、麻酔科は許可してくれるだろうか、とか、看護部は文句言わないだろうか、などといったことばかり心配し、患者の心配は二の次になる傾向が昔から指摘されています。

これは患者のことだけ考えて頑張ることができる病院が理想の姿であるという意味で、他意はありません。

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またナース(看護師さん)やME(臨床工学士)さんらのコメディカルスタッフも心臓手術に特化して日々研修を積めるため、短期間で立派に熟練スタッフに成長するのです。

これは総合病院や大病院でたくさんの科をローテートしていつまでたっても心臓手術は素人なみという状況とは正反対です。

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チーム医療はスポーツと似ているところがありますまたいつも同じメンバーで手術を行うため、細かい指導や検討ができ、操作の細部まで慣れるため、結果として無駄な動きが減り、手術の速度が上がります。

初歩的ミスが減るため安全性も向上します。心臓外科医の技量だけでなく、コメディカルを含めた総合力が大切なのです。

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さらに申せば、各職種のチームメンバーが労働基準法を振りかざして自分の権利を主張するということがない、病院の設立理念である「患者さん中心の医療」や「断らない医療」とくに「緊急を断らない医療」をもとにしてものを考える、これがひとあじもふたあじも違う、ハートセンターの雰囲気を創っているように思えます。

正しい理念の賜物、と言えるのではないでしょうか。理念というのはその病院の魂(たましい)なのです。

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Ilm09_ba02010-s奇しくも、この雰囲気は欧米の立派な大学病院の手術室によく似ています。緊急手術の相談をナースや麻酔の先生方にすると、皆、笑顔でよっしゃ!と(もちろん英語で)言ってくれるのです。

日本とはずいぶん違いますが、その理由は簡単です。

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欧米では緊急手術や時間外手術といえば、麻酔の先生方にも、コメディカルの方々にも、十分な手当てがでるのです。

外科医にも、研修医にさえ、しっかりとした手当てがでます。

厳しい仕事を夜中にしてくれるひとたちに対する、当然の報酬ですが、これが当然でないのが日本なのです。まだまだ後進国と言わねばなりません。

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ともあれこうした迅速さや精密さのある手術、熟練したチーム、患者中心の理念が貫ける態勢などがハートセンターの特長と言えましょう。

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しかし専門病院であるための弱点が次第に明らかになって来ました。

消化器外科や内科、神経、感染、泌尿器、整形外科、眼科、耳鼻科、がんなどの専門家と密に連絡をとり、総合病院の機能を持つようにしています。このために近隣の総合病院や大学病院、あるいはそれぞれの専門病院との交流を重んじています。

逆に、それらの病院で緊急対応できない心臓血管病が発生したときには積極的に受け入れるようにしています。

これがハートセンターにおける、専門医療と地域連携のあるべき姿と考えています。

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そして次なるステップは総合病院の中のハートセンター

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こうした総合病院の良さとハートセンターなどの専門病院の良さを併せ持つかたちの病院、それが総合病院の中のハートセンターです。

といっても、なかなか内部の調整が大変です。しかし病院のトップがそれを決断し、チームができ、各部門でそうした努力をやろうという態勢があればできるはずです。

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こうして2016年8月から医誠会病院心臓センターで新たな挑戦をしています。経営者の医療に対する志が高く、透明性の高い、かつ足腰の強い病院で、合計9つの病院を有機的に束ねています。着任早々、心筋梗塞後の左室破裂それもブローアウト型と呼ばれる手術の難しいタイプでしたが、チームワークが効いてわずか2時間半で手術を成功させることができました。

医療を誰のためにやっているのか、断らない、待たせない、質の良い医療とは何かを考えて努力すれば、おのずと道は拓けるものと考えています。

幸い、そうした基本姿勢、考え方に同調してくれる仲間がほとんどなので、これからの展開が楽しみです。

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患者さんたちにおかれましては、御意見をお聞かせ頂ければ大変ありがたいと存じます。医療は医師や医療者だけで造るものではなく、患者さんやご家族、社会までが協力して創るものと心得ます。よろしくお願い申し上げます。

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