東京スポーツ・大阪スポーツに掲載されました

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2014年9月11日、サラリーマンの方々や庶民に人気のある新聞である東京スポーツ、大阪スポーツに米田正始が紹介されました。その翌日の太田剛弘先生(かんさいハートセンター副センター長)とともにハートチームが評価されての掲載でした。

毎朝、循環器内科と心臓外科の全医師がミーテ IMG_0574bィングをもち、患者さんを軸にして、内科外科の垣根のない治療を進める、いわゆるハートチームですね、こうした当然のことが行えない病院が多いと言われています。そのような中で、信念をもって皆でハートチームを実践しています。

患者さんたちの熱いご期待に沿えるよう、全力をあげて取り組んで参ります。

以下は同新聞からの引用です。

 

名医の診察室

心筋梗塞はもちろん、心臓弁膜症、心筋症など、それも重症患者が最後にするハートセンターがある。最先端の、体に優しい手術から日本では数人しかできない心筋症に対する左室形成術等、様々な術式で患者を救っている名医とは―。(医療ジャーナリスト・松井宏夫)

重症患者の最期の砦
大学病院でも手に負えない
心臓救う神の手

日本で数人の技

奈良生まれ、奈良県育ちの名医が、ついに奈良に戻って新しいハートセンターを立ち上げた。トロント大学、スタンフォード大学、メルボルン大学主任外科医として海外で11年の武者修行をし、京都大学心臓血管外科教授、名古屋ハートセンター、豊橋ハートセンター副院長を歴任。そんな高の原中央病院かんさいハートセンター(奈良県奈良市)米田正始センター長(特任院長/59=京大・医卒)が作るハートセンターとはどのような施設なのか―。

「私は患者さん本位の医療を追及してきて、その原点となるハートセンターを作り上げるべく努力しています。故郷の奈良でハートセンターを立ち上げる機会を得て準備し、2013年10月にスタートしました。

今年4月には心エコーや弁膜症・冠動脈のプロを中心とする循環器内科が発足し、心の通ったハートチームが本格始動。今はハートセンターの手術室・カテ室は各1つですが、近い将来にはそれぞれ2つになり、さらにパワーアップします。多くの合併症に悩む患者さんに対し、総合病院のハートセンターの良さがあります」

週に3例の心臓手術が4月からは週に4例。すでに奈良県内での心臓手術は近大奈良病院、天理よろづ相談所病院に次いで3番手。ただ、数だけではない。多くの大学病院で断られた患者が祈る思いで受診する難しいケースも多い。

「心臓移植しかない、と大学病院でいわれた50代の心筋症の患者さんが“心臓移植はいつになるか分からない”といってバチスタ手術を希望して受診されました」
これは拡張した左心室の心筋の一部を切除して縫い合わせる手術。左心室を小さくすることで収縮力をアップされようというもの。日本でこの手術ができるのはわずか4~5人。

手術痕の小さいMICS法を開発

「心筋の手術にはバチスタ手術、ドール手術、SAVE(セーブ)手術などがあり、状態により適した手術を行うのが大事で、その患者さんにはドール手術変法を行いました。患者さんはあっという間に元気になられ、大学病院の主治医からも大変感謝されました」
また、心臓弁膜症の手術ではより手術痕の見えない手術を求めて、全国から受信うる患者が後を絶たない。

それは「MICS(低侵襲心臓手術=ミックス)」と呼ばれる手術。米田センター長が改良開発した。「胸の右側を5センチ程度皮膚切開し、そこから手術を行う器具のポートを挿入して行います。傷はその他にわき下に1センチの刺し傷が1か所のみです」

さらに、この9月末から閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して新生血管療法の一つ、米田センター長が京大教授時代に開発した「bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)治療」の臨床試験が行われるという。京大時代には7人行い、皮膚潰瘍も治療して歩いて自宅に帰ることができるようになった患者もいた。それほど成果があった。

「bFGFは体内にもある物質で、すでに床ずれの治療薬として使われています。それを特別なタンパクで処理をいて脚の付け根から血管の閉塞部まで50か所くらいに筋肉注射をするだけです。それで新生血管ができ、脚が救われるのです。これは最初の数日は入院ですが、あとは通院が可能。自由診療ですが地域貢献を考え、低額に抑えたいと思っております」

新しいハートセンターの羽ばたきは地域、そして全国に聞こえている。

MICSでの僧帽弁形成術

心臓の弁が正常に機能しなくなる心臓弁膜症。僧帽弁の治療で最も進化した形が
MICSでの僧帽弁形成術。

手術後、血栓予防薬のワーファリンを必要といないので、患者の負担は軽い。さらに長期間効果が安定しやすく、傷が小さいため社会復帰が早く、心にも傷がつきにくい。

なお、大動脈弁でも同様に大動脈弁形成をMICSで行うのが理想に近い治療となる。弁が形成できないほど壊れている場合は大動脈弁置換する。

将来はTAVI(タビ=カテーテルで入れる生体弁)を用いることで再手術を回避しやすくなる。

閉塞性動脈硬化症(ASO)

動脈硬化は全身の血管に起こる。心臓の血管でそれが進行すると狭心症、心筋梗塞、脳の動脈で進行すると脳梗塞。

しかし、それだけではない。下肢の血管の動脈硬化で血流が悪くなるのを閉塞性動脈硬化症という。

症状は「しびれ、冷感」「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」「安静時疼痛」、そして、「潰瘍、壊疽」。潰瘍、壊疽まで進行すると足を切断することになってしまう。

 

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註:平成27年6月をもって米田正始は高の原中央病院を退職いたしました。開設時からいた心臓外科スタッフもすでに全員異動いたしました。

奈良の地にどんな心臓病にでも対処できる、ちからのあるハートセンターを立ち上げ、他で断られた患者さんを救命するなど一定の実績を上げることはできましたが、病院の事情によりあまり大きな手術やリスクの高い重症の治療ができなくなったためです。

現在は大阪府内の二つの病院(医誠会病院(外来・手術)、仁泉会病院(外来)で本来の断らない心臓外科医療ができるようになりました。

心臓病で何かお困りの際にはご相談ください。お役に立てれば幸いです。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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