ハートチームという言葉が定着しつつあります。
これは循環器内科と心臓血管外科が協力して正しくそれぞれの方法を使い分けたり併用することで患者さんにとってベストの医療を行おうという趣旨で使われていることばです。
ハートチームという言葉はとくに冠動脈狭窄症の治療の中でのカテーテル治療PCIと冠動脈バイパス手術CABGの使い分けのところで使われています。
しかし2014年のAATS アメリカ胸部外科学会などでも問題になったように、まだこのハートチームを尊重・遵守しない先生方がとくに内科側に見られます。そうした実例やデータを発表しておられました。
どこの国でも、とくに日本では古いタイプの内科の先生の中に、患者は自分のもの、どの治療をしようが自分の自由、と仰る向きが今もおられると言われます。そうした考え方はむしろ若手の中には少ないのが救いですが、まだまだ啓蒙活動が必要なのでしょう。
2013年のESCヨーロッパ心臓病学会つまり内科系の権威ある学会ですが、ここで造られたガイドラインの一部を以下にお示しします。
図のフローチャートの原文は英語ですが、わかりにくいところは邦訳しました。
図のタイトル: 左主幹部病変のない安定狭心症でのカテーテル治療PCIとバイパス手術CABG。
ハートチームの重要性と役割を明示した、画期的なものと評価されています。
これからの時代は 大昔のように心臓外科医が威張る時代でもありませんし、最近まであったインターベンションバブルの時代でもありません。
心臓外科医はもはや内科のご協力なしでは成り立たないのは自明ですし、カテーテルによるインターベンションも大手のメーカーが完全撤退するなど、もはや3-4年前までのバブルがはじけたことを示す事件が起こっています。
米国の大手メーカーは高度かつ科学的なマーケットリサーチを行い収益が上がらない領域からは手を引くのがうまいですので、これをもってバブルが終わったと説明された識者が複数おられます。
しかしこれから何をすべきかは簡単なことと思います。
要するに患者さんが得する方法を皆で毎日相談して決めていけば良いのです。
人間素直になることが大切だと私の海外の友人は教えてくれました。
かんさいハートセンターの私の外来にはまだ診断もついていない方から具体的に手術希望される方までさまざまな患者さんが来られます。
そのつど内科の先生方と相談し、患者さんを紹介する立場から、つまり患者さん目線でPCIとCABGを選ぶようにしています。
そうした正しい、自然で当然な仕事ができる仲間に感謝しています。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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