いい心臓・いい人生 【第134号】 日本心臓病学会にて

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いい心臓・いい人生 【第134号】 日本心臓病学会にて
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発行:心臓外科手術情報WEB
http://www.shinzougekashujutsu.com
編集・執筆:心臓血管外科専門医・指導医 医学博士 米田正始
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台風一過のあと少し涼しくなったと思いきや、また真夏日が戻ったような最近ですが、
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

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この9月13日から15日まで第67回日本心臓病学会(於、名古屋)に参加して
まいりました。
三重大学の伊藤正明先生が会長で、教育マインドにあふれた、かゆい所に手が届く
ような素晴らしい学会でした。

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臨床主体かつ内科中心の、つまり患者さん目線の学会で、外科系学会とは一味ちがう
多くの情報や意見交換・交流ができました。

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私自身は2つ発表がありました。

ひとつは僧帽弁閉鎖不全症治療の最前線というシンポジウムで、虚血性僧帽弁
閉鎖不全症や機能性僧帽弁閉鎖不全症に対するDual Repairという新しい心臓手術の
成果を発表しました。もはや少々左室が壊れていても僧帽弁閉鎖不全症は治せる
ようになり、今後の展開が期待できるデータでした。

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もう一つは、昨年のアメリカ胸部外科学会で発信した新しい左室形成術(心尖部
凍結型左室形成)の中期遠隔期の結果で、患者さんはお元気になる方がほとんどで、
有望な結果でした。面白いのは術前に致死性不整脈が出ていた方が多い中、術後は
それがほとんど出なくなったことで、この手術の有効性を示す一つの指標と言われ
ました。

これまでの方法をより強化し、従来の外科治療の限界点を引き上げ、より多くの
患者さんたちに恩恵が届く、そうした成果について、有益なご質問やコメントを
いただきました。発表のあとも、ぜひこの新しい手術を使いたい、というお願いを
いただき、光栄でした。

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これから仲間を増やし、これらの手術を全国というより世界に広げていければ、
と思いました。
実際、私たちの患者さんの中には、すでに見捨てられ、あとは看取りだけ、
と言われてから手術を受けて社会復帰した方が複数含まれており、これまでの
常識に前向きに挑戦できる結果だったと思います。
今回の心臓病学会では、その他にも興味ふかい、役立つセッションが多数あり
ました。

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私は心房性機能性僧帽弁閉鎖不全症のシンポジウムで発言させていただき、この
病気の本体が心房の高度拡張にある限り、弁を直すだけでなく心房も縮小して
適正化するのが本筋であることをお話しました。15-16年前に欧米のメジャー
ジャーナルで発表した内容をあらためてお伝えしました。
中には心房縮小のやり方を教えて!と言ってくださる先生方も複数あり、そのコツ
をお話しておきました。ちかぢかこのハウツーを記載した論文を出すつもりです
ので、ご期待ください。
皆様のお役に立ってこそ意義ある研究ですので、時間を捻出して頑張りたく思い
ます。

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その他がん心臓病学のセッション、心不全と心拍数、左心耳閉鎖デバイス、HOCM
(コロンビア大学高山先生、立派な講演ありがとう)、心エコーでのストレイン
解析、新しい補助循環・インペラ、負荷心エコー、などなど、大変参考になると
ともに、交流を楽しむことができました。

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素晴らしい学会を企画運営された伊藤正明教授はじめ三重大学の皆様と、私の留守
を守って下さった医誠会病院の皆様に感謝申し上げます。

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令和1年9月17日

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医誠会病院心臓血管外科スーパーバイザー
心臓血管外科専門医・指導医
米田正始 拝

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執筆:米田 正始
医誠会病院スーパーバイザー 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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