最終更新日 2025年 9月17日
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◆ 大腿動脈バイパス術(F-Fバイパス術)とは?
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大腿動脈―大腿動脈バイパス術(Femoro-Femoral Bypass:F-Fバイパス術) は、
片側の大腿動脈(外腸骨動脈)が閉塞して血流が遮断されたときに、
もう一方の健常な大腿動脈から血液を「借りて」流すことで下肢の血流を改善する手術です。
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人工血管(ゴアテックスなど)を使用
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お腹を大きく開けず、左右の下腹部に小切開を加えてバイパスを作成
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全身への負担が少なく、高齢者や合併症のある患者さんでも比較的安全に施行可能
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◆ 他の治療との違い・使い分け
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下肢の血流障害(閉塞性動脈硬化症など)に対する治療には以下の方法があります。
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カテーテル治療(PTA・ステント留置術)
動脈の狭窄が軽度の場合に有効。 -
腹部大動脈から下肢への人工血管バイパス
重症例に理想的だが、体力的に負担が大きい。 -
F-Fバイパス術
お腹を開けずに済むため、
体力の低下している患者さんや心臓・肺に持病がある方 にも選択可能。
つまり、F-Fバイパス術は 「低侵襲で安全性が高い選択肢」 といえます。
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◆ F-Fバイパス術の特徴とメリット
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小切開で可能 → 開腹手術を避けられる
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心臓・肺への負担が少ない → 心不全や呼吸器疾患のある方にも有利
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既往手術がある方にも適応 → 腹部の手術歴があっても実施できるケースが多い
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麻酔法が選べる → 全身麻酔が難しい場合、脊椎麻酔や局所麻酔で対応可能
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◆ F-Fバイパス術+他治療の併用(ハイブリッド治療)
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足の末梢側にさらに狭窄・閉塞がある場合
→ F-Fバイパス+FPバイパス や F-Fバイパス+カテーテル治療 を組み合わせる -
動脈硬化が多発しているケース
→ 複数の血行再建法を併用 し、全体の血流改善を図る
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このように、F-Fバイパス術は単独でも有効ですが、他の治療と組み合わせることで効果を最大化できる柔軟な手術法 です。
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◆ まとめ:大腿動脈バイパス術(F-Fバイパス)は「体に優しい血流改善手術」
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大腿動脈―大腿動脈バイパス術は、
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お腹を開けずにできる低侵襲手術
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高齢者や心肺機能が低下した患者さんにも適応可能
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カテーテル治療や他のバイパス術との併用も可能
という特徴を持ちます。
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下肢の血流障害(閉塞性動脈硬化症など)で歩行障害や安静時の痛みにお悩みの方 は、
F-Fバイパス術を含む最適な治療選択についてぜひご相談ください。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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