感染性心内膜炎、、患者さんの想い出

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感染性心内膜炎(IE)にもさまざまな重症度のものがあります。Aさんは60代女性で、クルマで40-50分ほどのやや遠方の病院から搬送されて来ました。

Aさんの心臓は感染性心内膜炎(IE)それも大動脈弁と僧帽弁の両方がばい菌にやられ、その2つの弁のつなぎ目も壊れる、もっとも難しいタイプのものでした。

感染も心不全も進行し、このままでは危険な状態でした。ぜひとも救命すべく、緊急手術になりました。

手術ではまず大動脈弁と僧帽弁をまとめて切除し、左室の入口と出口がつながった大穴があく状態になりました。

ここでばい菌がついている場所、つまり膿(うみ)や組織破壊のある場所を徹底して取り去り、きれいな状態にしました。

そのうえでまず僧帽弁を再建し、僧帽弁と大動脈をつなぐ組織をパッチで創り、大動脈弁を再建してから大動脈をそのパッチで修復しました。左房の天井は別のパッチで再建しました。

大きな手術でしたが、Aさんはお元気に回復され、ばい菌も心不全もすっかり消えて、元気に退院して行かれました。

いまでも外来でお元気なお顔を拝見するたびによく頑張られましたねという気持ちになります。最重症の感染性心内膜炎(IE)を見事に乗り越えられたAさん、お元気で楽しくお暮しください。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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