【第五号】 再生医療ご報告2

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【第五号】
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発行:心臓血管外科情報WEB
http://www.masashikomeda.com
編集・執筆:米田正始
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秋も深まって参りましたが皆さん如何お過ごしでしょうか。

以前にご紹介しましたタイ国バンコックでの再生医療の手術の結果が出ました。今年8月に行った手術でした。

麻酔をかけた患者さんの左胸部に小さい切開を入れて、そこからbFGF(ビーエフジーエフ)というタンパク質を徐々に放出するゲルを心臓の表面に置くだけの、体にやさしい方法です。治療から4週間後の冠動脈造影にて、治療前には見えなかった新しい血管が何本も写っており、心臓に血液が良く流れるようになったわけです。まだ若いのにバングラデシュでは治療法なしとさじを投げられた患者さんでしたが、喜んで下さいました。

名古屋ハートセンターが開院してからちょうど1年が経ち、多くの患者さんが来て下さるようになりました。その中に他病院で打つ手なしと言われた方が少なくないので、何とかしたく思っていましたが、今回のタイ国での臨床試験の結果を受けて、これからこの治療法が必要な方で、タイまで一緒に行って下さるかたにこの治療法をと期待しています。

再生医療は世界でも日本でも一時脚光を浴び、さまざまな臨床試験が行われました。ある程度の成果が見られましたが、その多くは効果が不十分あるいは不確実ということで停滞しています。しかし医学の歴史ではこうしたことが多々あり、その後の周辺技術の進化により、かつて諦められた治療法が改善強化され復活したというケースは少なくありません。たとえば、ある種の細胞移植ではそれほどの効果が上がらなかったという実例がいくつかありますが、今回のbFGF徐放を併用すれば効果は格段に上がります。私たちの動物実験のデータからそれはかなり有望とみています。こうして近い将来、より優れた再生医療ができればと思いつつ、努力しています。

といっても私の本業は心臓血管外科の患者さんを手術によって救命し、元気に長生きしていただくことですので、普段は名古屋に張り付いて努力しています。もともと緊急手術を得意とする足腰の強い病院ですのでいざという時には電話連絡して下さい。

これから次第に寒い季節に入って行きます。平素の健康管理と、今秋から冬にかけてはインフルエンザに十分ご留意下さい。新しい情報を私のWEBに簡略記載していますので( http://www.masashikomeda.com/web/2009/08/post-9b03.html )ご参照頂けましたら幸いです。

2009年10月23日

名古屋ハートセンター心臓血管外科
米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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