新しいダイエット法、糖質制限食ダイエットについて―コロンブスの卵?

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私は心臓血管外科医ですのでメタボリック症候群の治療そのものはこれまで内科の先生方にお願いして来ました。

それは今後も同じと思いますが、手術前後の患者さんの治療の中で、私たち心臓血管外科医も積極的にメタボリック対策を進めることが患者さんに益するところが大きいと思うようになりました。

 

油が悪いのではありません、炭水化物が問題なのです。またカロリーがすべてでもありません。 名古屋ハートセンターがスタートした2008年10月から予想を大きく超える患者さんたちが手術のために来院下さり、

1年で約150例の心臓と大血管の手術ができました。

2年目は約200例、そして5年目には300例近くに達し、関係の先生方に深く感謝しております。(註:米田正始は2015年7月から仁泉会病院(外来や術後のリハビリ入院で)および医誠会病院(手術や治療)に異動いたしました)

毎日の仕事のなかでたまたま春日井市の開業医・灰本クリニックの灰本元先生から新しいダイエット法を学ぶ機会を得ました。

それが低炭水化物・高脂肪食ダイエット法(ローカーボダイエット、糖質制限食)です。

 

灰本先生はこのダイエット法(糖質制限食)を7年前に開始され、

豊富な経験の中で、血糖値を改善し、中性脂肪や悪玉コレステロールを下げ、善玉を増やし、それと同時に体重をしっかり減らせることを証明されました。

アメリカの国際ジャーナルでもその成果を発信しておられます。

その理論と実データを知り、私もこの低炭水化物・高脂肪ダイエットは良いと確信するに至りました。

 

そこで患者さんにいろいろご指導する前に、私自身でこのダイエット法(糖質制限食)を実践してみました。ステーキや焼き肉などもお腹いっぱい食べましたがダイエット成功しました

何しろ炭水化物を食べないときは脂肪はしっかり食べて良い、ということですから、

焼き肉やステーキ、ハンバーグ、魚は好きなように食べ、

天婦羅や唐揚げ、トンカツ・ヒレカツもしっかり食べ、

野菜にはドレッシングやマヨネーズ(!)をたっぷりかけて、

そこそこ運動はして半年間で8kg減量できました。

 

血液所見も、もともとすべて正常範囲でしたが、それがいっそう良くなりました。

中性脂肪や悪玉コレステロールがさらに減り、善玉は増えていました。

お腹にあった脂肪がぺしゃんこになり、体が軽いこと、比較的長時間の手術でも体が軽いため楽です。

灰本先生に感謝!しつつ、それを名古屋ハートセンター、かんさいハートセンターの心臓病患者さんや奈良の実家(米田医院)の患者さんに使うようになりました。

よろこびをおすそ分けするつもりでやっています。

真剣に取り組んで下さる患者さんでは効果は絶大です。

体重が5kg以上減った方は皆、上記の血液データや血圧などが明らかに改善していました。

中には10年も切れなかったインシュリン注射が3か月で切れ、しかも血糖値も良好安定したとか、

何年もA1cHbが10を超えていたのが、薬を変えずにダイエットだけで数か月で7まで改善したという方もありました。

 

私の友人の中にこの方法(糖質制限食)が気に入り、1カ月で8kg減らしたひとがいます。

ちょっと凄すぎますが、それほど効くのです。

2-3kg減らした方はすでに多数おられます。

それでも血液のデータ、とくにA1CHb(1か月の平均血糖値)やTG(中性脂肪)、HDL(善玉コレステロール)などは大きく改善していました。

 

このダイエット法(糖質制限食)は自然の摂理に合ったところがすばらしいと思います。

昔、弥生時代に稲作稲作は画期的な素晴らしいことでしたがインシュリン分泌を刺激し、肥満のもとになったと言われています。ご飯は上手に食べることが大切です。 が始まるまでの何百万年の間、人類は木の実や動物昆虫などを食べて、低炭水化物・高脂肪食を普通に実践していたのです。

現在もエスキモーの方々は同じタイプの食事を摂り、糖尿病も高脂血症もありません。

つまり現代人は膵臓が耐えられないほどの多量の炭水化物を食べた結果、メタボリックになってしまったのです。

 

そのカギはインシュリンを体にあまり出させないというところにあります。

インシュリンとは別名肥満ホルモンですから食べたものを体に脂肪として取りこんでしまいます。

このダイエット法ではインシュリンを膵臓にあまり出させないため、膵臓にも良いですし、

あまったエネルギーは体に取り込まれることなく尿に溶けて体外へ出てしまうのです。

ケトン体という形で。なのであらゆるメタボに有用なのです。

 

なお動物性の油を摂りすぎるはよくない、なるべく植物性をと指導しています。

事実、最近のNEJM誌(世界でいちばん信頼されている臨床系雑誌です)でも動物油を摂りすぎるときの弊害が報告されました。

逆に、植物性の食べ物をしっかり食べているとその弊害がむしろ普通以上に減るとされています。

 

ということでこの新しいダイエット法(糖質制限食)は心臓血管手術の患者さんの中で肥満が気になる方に米田がお教えしています。

奈良県の患者さんには米田医院の私の外来(月2回)で指導致しております。

より高度なダイエット(糖質制限食)には愛知県春日井市の 灰本クリニック・灰本元先生にお問い合わせください。

 

また日本ローカーボ食研究会という研究会を灰本先生らと立ち上げ、HPも公開致しております(日本ローカーボ食研究会ホームページ)。

ここで最近の欧米の論文やデータも得られるでしょう。医師、医療者とくに栄養士、看護師、薬剤師、製薬業界、食品業界、厚生労働省、農林水産省などの広範な支援で日本の国民健康増進に役立つでしょう。

ご期待下さい。

 

このダイエット(糖質制限食)では炭水化物(糖質)を食べないときに脂肪を摂ることを勧めていますが、

それが従来の食事栄養指導と正反対に見えて混乱する患者さんや医師が少なからずおられます。

しかし私の意見では、まったく矛盾しないのです。

 

というのは従来の食事栄養指導はご飯などの炭水化物を食べるという前提で脂肪制限やカロリー制限を行っていたのに対し、

ローカーボ食(糖質制限食)では炭水化物を食べないときに脂肪を食べて良い、と指導しているからです。

つまり炭水化物を同時に食べるかどうかという前提が違うだけなのです。

 事実、ローカーボ食(糖質制限食)でも炭水化物を同時に食べるときには脂肪はほどほどに、少な目にして下さいと指導しています。

 

つまり従来の食事栄養指導とローカーボ食は矛盾するのではなく、

その前提条件(炭水化物摂取)を変えたともいえるわけです。現

代のコロンブスの卵ともいえましょう。

 

そういうことでこれまでの食事療法で社会貢献して来られた糖尿病の先生方や管理栄養士の方々にもどしどし参加し、

より立派なものをいっしょに造って頂ければと願うのです。

お知らせ:平成25年11月に待望の教科書「正しく知る糖質制限食」が出版されました。単なるダイエット本ではなく医学書としても通用する内容をもった、医療者や患者さん向けの書です。ぜひご一読下さい。

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米田正始   医誠会病院スーパーバイザー 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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