メタボリック症候群と心臓―心臓が壊れるまでに、、、

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メタボリック症候群(メタボリックシンドローム)という言葉が知られるようになって数年経ちました。

メタボリック症候群は心臓にとっても無視できない心配事です。

そこでこのページでは心臓の観点からメタボリック症候群を少し解説します。

 

そもそもメタボリック症候群とはつぎの診断基準を満たすときに該当します

~メタボリック症候群の診断基準~

項目 基準値
・内臓脂肪蓄積の可能性(腹囲)
男性:85㎝以上、女性:90cm以上

以下のうち2項目以上

・高脂血症(中性脂肪値)  150mg/dl以上
・低HDL(善玉コレステロール)血症  40mg/dl以下
・高血圧  最高130mmHg/最低85mmHg以上
・高血糖  空腹時血糖>110mg/dl、HbA1c>5.6

2005年4月:日本内科学会~「メタボリック症候群診断基準検討会」が公式発表した診断基準

メタボリック症候群の基本原因は毎日の食生活と運動のちょっとしたあやまりにあることが多いです 

 

メタボリック症候群の方は動脈硬化が進みやすく、

心臓病とくに虚血性心疾患下肢などの血管病変にも注意が必要です。

 

食事の量や内容に注意し、運動不足にならないよう心がけることが大切です。

 

メタボリック症候群の方で、

とくに平素忙しく不規則な生活やストレスをため込む傾向の強い仕事熱心な方々、

タバコやお酒がどうしても増えがちな方、

冠動脈疾患のリスクファクター(糖尿病、高血圧、高脂血症、タバコ、家族歴:メタボリック症候群のファクターと重なるものもありますが)をお持ちのかた、

慢性腎不全・血液透析の方などは定期健診や指導を受けることを勧めます。胸痛や下肢の痛みは早目に相談するのが結局は安全かつ楽な道になります

 

なかでも胸を締め付けるような痛みや不快感、あるいは首すじや腕などに違和感が数分以 上起こるとき、

あるいは息苦しさを感じることが増えるなどがあれば、

虚血性心疾患などの心配があり、早めに医師にご相談されるのが安全です。

早朝などに上記の症状があればより心配です。

下肢についてはある程度以上歩くと下肢が痛くなる、少し休めば痛みが取れる、という症状があれば閉塞性動脈硬化症(ASO)などの心配があり要注意です。

 

新しいCT(MDCT)のおかげで心カテーテルが省略できることが増えましたもし冠動脈疾患の疑いがあれば、現在はCT検査(MDCTと呼びます)で痛みや苦痛なく、短時間でかなり精密に調べることができ、

もし病気が見つかれば治療し、多くの場合、治すことができます。

治る病気を放置して命を落とすのは大変残念なことです。

下肢血管の場合も診察と検査で診断は比較的容易です。

 

メタボリック症候群は万病のもと、とくに心臓や血管の病気のもとです。油断されないようお願いします。

 

なおメタボリック症候群にも効く、新しい科学的ダイエット法、「低炭水化物・高脂肪ダイエット」(別名、ローカーボダイエット、糖質制限食) Ilm15_bb02002-sのページもご参照下さい

 

また心臓や血管の手術をするだけではメタボがらみの病気の患者さんはまた病気が起こる心配もあります。

やはりきちんとしたアフターケアが大切です。

それもあって、仲間が集まって「日本ローカーボ食研究会」(糖質制限食の研究会)を2011年に立ち上げました。

そのHPに私のブログが掲載されましたので、そちらもご参照ください。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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