最終更新日 2020年3月2日
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心臓手術に際してはできるだけ輸血をゼロに近づけるべく努力をしており、私たちの経験でも、C型肝炎などで困る患者さんはほとんど皆無に近くなっています。
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しかしそれでも昔の血液製剤肝炎事件などのトラウマか、輸血を極端に心配される患者さんはおられます。
たしかに20-30年ほど昔は、輸血が5本に達したら肝炎になると言われた時代がありました。
そのため心臓手術そのものよりも輸血を心配されることさえあります。
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しかし現代の心臓手術は、経験豊富なプロフェッショナルチームが行う限り、肝炎の心配は少ないです。
通常の心臓手術では出血は少なく、輸血もあまり必要ありません。
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心臓再手術の場合は、心臓と周囲組織の癒着をはがす必要から、術後じわじわと出血することがかつてはありました。
現代はこうした出血もずいぶん減りました。
癒着をはがすときに電気メスだけでなくハーモニックメスを多用し、止血確認しながら手術を進めるためです。
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もし必要になっても、日赤の検査に合格した血液のみ用いますから、輸血1本あたり肝炎をもらってしまう確率は10万分の1にも満ちません。
つまりたとえ5本の輸血が必要となっても、肝炎になる確率は万にひとつもないわけです。これは心臓手術の危険性よりさらに一段と低いものです。
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輸血の心配は私たち心臓外科医と心臓手術チームがいたします。
少しでも出血を減らし、少しでも輸血をゼロに近づける。
これが大切で、患者さんやご家族はそれ以上に悩むよりは術後の心臓リハビリなどにエネルギーを使って頂ければと思います。
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しかし輸血をしない心臓手術は理想の医療です。この観点から、医誠会病院心臓外科では積極的に自己血貯血を進めています。3−4回に分けて患者さんの血液を採らせていただくためと、チームで厳重な品質管理を行うため手間がかかりますが、それだけの価値はあります。 →→続きを見る
心臓病によっては自己血貯血が進められないこともあります。外来でご質問いただければと思います。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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