【第五十四号】残暑お見舞い申し上げます

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 第54号
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           発行:心臓外科手術情報WEB
           http://www.masashikomeda.com
           編集・執筆:米田正始
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お盆ごろの台風がまるで日本上空を旋回しているかのような変な天気が繰り返す

この頃ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

メルマガをしばらくお休みして失礼いたしました。

かんさいハートセンターを立ち上げて10か月が経ち、毎日忙しくしています。

生まれつき要領が悪いためもあるのでしょうが、患者さんと向き合う時間を多く

取れてうれしく思うと同時に時間が足りず不便しています。

この4月からかんさいハートセンターの循環器内科が発足し、ようやく本格スタ

ートを切ったという印象です。

やはり内科の先生らがいないと真に盛り上がりません。ようこそお越し下さいま

したという感謝の念で一杯です。

新しいハートセンターの循環器内科では従来の心臓カテーテル、PCIはもちろん

、心エコーのスペシャリストである太田剛弘先生はじめその薫陶を受けた若い先

生方も参加下さり、狭心症・心筋梗塞などの冠疾患だけでなく弁膜症・心筋症・

心不全にも高いレベルの治療ができるようになりました。

さらにCKDと言われる慢性腎機能障害の患者さんにも専門的観点からの治療がで

きるようになり、患者さんをより全人的に治療できるようになりました。

こうして理想の医療に一歩ずつ近づいているのは楽しい限りです。

平素の診療の中で心臓血管はもちろんのこと、腎臓も大事にして参りましたが、

これまで以上に力が入るようになりました。視点がひとつ増えたようです。

そういえば名古屋時代に大いにお世話になった日本ローカーボ研究会の先生方と

も交流がつづき、こちらの患者さんにも大変役立っています。

つい先週もインシュリン依存性糖尿病の患者さんが抗インシュリン抗体のため血

糖値が不安定となり、心臓手術の準備中でしたので、安定を図ろうと、ローカー

ボ食(糖質制限食)を導入し、無事インシュリンを離脱できました。

私は心臓外科医ですから心臓手術を日々考えるのは当然としても、薬や食事・運

動まで治療手段として活用するようになり、これまで治せなかったものが治せる

ようになるというシーンが見られるようになりました。その成果は研究会でも披

露しましたが、いずれ大きな場でもと考えております。

メルマガをお休みしている間にいろいろな進歩がありましたが、それはまた患者

さんの会などでご紹介したく思います。

最後にひとつ老婆心ながらメッセージを。この夏も多数の患者さんが脱水で腎臓

や全身を弱らせ、あわやの手前で何とか元気に回復していただいたというケース

を経験しました。

日本の気候が亜熱帯のそれになってしまった今、これまでよりしっかりした暑さ

対策を皆様にはお願いしたく思います。

私のホームページの患者さんのコーナーにも以前お書きしましたが、喉の渇きを

あてにせず、尿の量や濃さをみて脱水かどうかを判断していただければと思いま

す。脱水になった患者さんのほとんどは喉が乾かなかったから、、、と言われます。

尿をみれば安全安心に近づくでしょう。

それでは皆様、またお会いできる時を楽しみにしております。ご自愛専一にお願

いいたします。

敬具

平成26年8月31日

米田正始 拝

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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