事例6 オーバーラップ手術

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この手術法は拡張型心筋症に対する左室形成術のひとつで、フランスの心臓外科医ギルメ先生が1980年代に初めて行 い、日本では北海道大学の松居先生らが心筋症に対して施行され効果を報告されたものです。

1.左室前壁(矢印)と心室中隔前部を縮小するため

61前者を後者へ落とし込むところです。

比較的簡単に左室の縮小が得られることと

パッチを使わずにできるのがこのオーバーラップ法 overlap法のメリットです。

しかしその反面、将来悪化(再拡張)しやすい病変部や周辺部を多量に残すことや、左室基部の形成ができないことがこの方法の「玉に傷」です。

622.左室前壁(矢印1)が

心室中隔の中ほどの所へ入り込んでいます。

縫合線の両端部を中心に

止血をこの段階で確実にすることが望ましいです。

.

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633.そして左室前壁の心室中隔側を左室側壁につなぐ

デザインを確認しています。

左室形成術にもいくつかの方法があり、

それぞれ特長があります。

このオーバーラップ法もその特長が活かせる時には積極的に活用するのが良いと考えています。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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