事例 腹部大動脈瘤へのステントグラフト 2 ―楽に治せます

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腹部大動脈瘤の治療法としてステントグラフト(略称EVAR)が進歩しつつあります。

これまでの手術法もさらに磨きがかかり、

安全性と完成度、長持ち度が増し、皮膚も小さく切るだけになっていますが、

ステントグラフトも進化しています。

 

Preop 患者さんは55歳男性で腹部大動脈瘤が大きくなってきたため、

近くの開業医の先生からのご紹介でハートセンターへ来院されました。

 

拝見しますとこの半年間で直径が42mmから47mmまで大きくなり、

現在はとくに症状がなくてもこのままでは早晩破裂してしまう状況でした。

Postop

従来型の手術でも小さい皮膚切開で安全に治せるのですが、

この患者さんは以前に脳出血を起こされたこともあるとのことで、

できるだけ体への負担が少ない方法が良いという判断で、ステントグラフトで治療することにしました。

 

  右図のようにきれいにステントグラフトが腹部大動脈瘤を閉鎖し安定しました。

患者さんは翌日から普通に食事も再開され、まもなく元気に退院されました。

ステントグラフト手術から2年が経ち、CTにて瘤の消失が認められました。

大変良い経過です。

 

この所見であれば長期的な安定度もよさそうですが、

油断なく、定期健診で安全安心を確保していく予定です。

 

ステントグラフト(EVAR)は通常のリスクより長年月の安定度がまだ不明な面がありますが、

このようにリスクをもった患者さんに役立つ治療法です。

また長期の安定度も改善しつつあり、

今後の研究成果が期待されています。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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