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◼️どんな腹部大動脈瘤が破れやすいの?
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腹部大動脈瘤の破裂しやすさは、
その瘤の形やサイズ、その他によって違います。
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早期に発見し、破れるまでに治療を完成することが、
命と生活を守ることにつながるのです。
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腹部大動脈瘤が小さい間、
たとえば直径4cm以下ではほとんど破裂することはありません。
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◼️瘤サイズと破れやすさの関係は
直径4.0cm未満 → 破れる確率は0.5%未満
直径4.0-4.9cm → 毎年0.5-5%
直径5.0-5.9cm → 毎年3-15%
直径6.0-6.9cm → 毎年10-20%
直径7.0-7.9cm → 毎年20-40%
直径が8cm以上 → 毎年30-50%
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◼️サイズと同じぐらい大切なこと
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サイズと同じぐらい大切なのは、瘤が大きくなる速度です。
腹部大動脈瘤は平均でも毎年3-4mmは大きくなるという方向がされています。
瘤が大きくなると加速度的に破裂しやすくなるのです。
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急速に大きくなる瘤たとえば6か月で5mm以上大きくなる場合は
破れる恐れが強いです。
なかにはサイズが長らく変わらず、
ある時突然大きくなるというやっかいなタイプもあります。
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◼️腹部大動脈瘤、破裂の盲点は
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なお直径5cmを超える大きな腹部大動脈瘤では
女性の方が男性より破裂しやすいのです。
その度合いは女性18%、男性12%です。
こうしたことを考え、腹部大動脈瘤が破裂するまでに外科手術やステントグラフト(EVAR)で治しましょう。
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◼️腹部大動脈瘤の治療は安全か?
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その危険性は熟練チームならきわめて低く、
そのまま放置する場合よりはるかに安全です。
何しろ腹部大動脈瘤が破裂したら即死に近い状況となりかねませんので。
それぞれの治療法にはそれぞれの特長があり、
個々の患者さんの年齢や瘤の形、サイズ、性質その他を考えて選ぶことが大切です。
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とくに患者さんにやさしいステントグラフト(EVAR)ではその利点と弱点を熟知して活用することが望ましいのです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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