最終更新日 2020年3月2日
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心臓手術を受けることを検討中の患者さんにとって、いつ仕事復帰できるかは重要な関心事です。
とくに仕事盛りの年代の患者さんにとっては、復帰の早さが仕事や職場での実績や評価に影響するため、大切なことです。
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心臓手術が患者さんにとって、生きるため、そして長生きするため、さらに元気に楽しく張り切って生きるため役立つように、さまざまな努力がされて来ました。
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私たちの経験では通常、術後10日ほどで退院し、その患者さんの年齢やもとの心臓病の内容や重さ、そして患者さんの体力や家庭・職場の状況などを勘案して社会復帰のタイミングをお話しするようにしています。九州・沖縄や関東・東北などの遠方から来られる患者さんも多いため、それら遠方の方には少し余裕のあるタイミングで、より体力をつけてから帰宅頂くようにしています。
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かつて心臓手術後5日前後で退院された方もありますが、中にはせっかく心臓病はなおったのに、まだ脈がときどき乱れるとか、微熱が続くとか、肺の水が消えないなどなどの理由で再入院されたケースもあります。早く退院するよりも、十分心臓リハビリや運動をやり、しっかり治して早く確実に社会復帰することの方が大切と思います。
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大きな心臓手術のあととか、もともと心臓や全身が消耗しておられた患者さんや高齢者やさまざまな他病をお持ちの方などの場合は特に大切です。
なので早すぎる退院よりも元気な退院をモットーとし、またガイドラインを参考にして、あまり遅すぎるタイミングで手術しないようにすることが勧められます。
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もちろん遅いタイミングの場合でもできるだけ術後十分な心臓リハビリをこなし、しっかりと治して、その後の社会復帰を促進するように努力しています。
粘り腰で、最終的には術前とは見違えるほど元気になった方が多いです。
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こうした努力のなかで、ミックス手術とくにポートアクセス手術では創が小さく、骨を切らない方法ができる場合はとくに回復が速く、社会復帰もスムースなことが多いです。骨は治るのに時間がかかりますが、皮膚や脂肪は速いからです。
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さらにミックス手術が適応にならず、胸骨正中切開で手術した患者さんには、私たちの特別な方法で胸骨再建をしています。これにより、胸骨切開後とは思えないスピードで(例えば心臓手術の翌日にすでにバンザイができる、退院後まもなく近場の運転ができるなど)社会復帰しておられます。→→もっと見る
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今後、より多くの患者さんが、できるだけ苦痛少なく、速やかに仕事復帰・社会復帰して頂けるように、さらに工夫を重ねていくつもりです。
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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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