お便り54: ポートアクセス法で僧帽弁形成術を受けた若者患者さん

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心臓病は今も昔もおおごとです。少なくとも患者さん目線からは。

弁膜症の場合も同様で心臓手術をすれば治りますといっても、会社や学校からしばらくは離れる必要がありますし、創が残るとあとあとつらいのではないかとか、そもそも手術の危険性はどうなのか、普通の生活に戻れるのか、長期的に大丈夫なのかなど、患者さんの悩みや不安は尽きません。

Ilm10_df01003-sそうした不安や期待に応えるのが弁形成手術でありミックス手術(ポートアクセス法などの創が小さい手術)なのです。

僧帽弁形成術を例にとれば、いったんきれいに決まれば、長期間の安定性が良く、ワーファリンなどの強いお薬を飲ますにすむことが多く、自然な普通の健康生活が送りやすくなります。

ポートアクセス法に代表されるミックス手術では、おなじ僧帽弁形成術でも、骨を切らずにすむため、より痛みも少なく、より早い社会復帰ができ、創も目立たないため心の傷もつきにくいというメリットがあります。

しかし僧帽弁形成術は一般的には必ずしも簡単な手術ではありませんし、ましてミックス手術でのそれとなると一段と難易度が上がります。

私たちはその安全で確実な手術に取り組んで来ました。それが患者さんのお役に立てることを大きな喜びと感じています。

以下はこの手術を受けられた20代若者のお母様からの感謝状です。

そのあとに続編のお手紙もあります。

お役に立てた喜びと、責任の重さに身が引き締まり、また光栄と思います。

 

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米田 先生

****の母、*****です。
 

北村先生方々からの退院の許可が下りましたので、3月24日(土)に、退院いたしました。

患者さんのお母様からのメールです本来なら、米田先生に直接、お礼を申し上げてから退院させて頂こうと思っていましたが、

韓国へのご出張を伺っていましたので、メールで失礼させて頂きます。
 

入院中は、米田先生だけでなく、北村先生、深谷先生、小山先生にも、また、看護士の方々にも、優しく、丁寧に、心温まる対応をしていただき、本当に、ありがとうご
ざいました。

 

大学の検診で「心雑音あり」と言われ、その後「心臓弁膜症」と診断されてから、名
古屋ハートセンターで最初の先生の診察をして頂く迄の、とてもつらい、暗い毎日か
ら比べると、

親子ともに、「笑顔」で退院を迎える事ができ、あの日々がうそのような、平穏な明るい日を送り始めています。

MICSなので、今後、「ライブ」で、何も気にせずに、胸の大きく開いた服を着ること
もできるし、弁形成なので、今後、「ワーファリン」の煩わしい(?)注意もしなくてす
むので、心から感謝しています。

本当にありがとうございました。

今後も検診等でお世話になりますので、また、よろしくお願い申し上げます。

 

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Ilm2007_01_0800-s上記の心温まるメールを戴きましたので、お礼かたがたこのメールをHPに掲載させて下さいとお願いしました。するとそれなら他の迷える患者さんたちのためにと、掲載承諾だけでなく加筆して下さいました。

それがつぎのメールです。

実によく勉強し、考えられたことが判ります。これからの患者さんの進むべき道を示して頂いたような気がいたします。

またこれほど過分なお言葉と信頼をいただき、手術させて頂き、良い結果を出せたことをあらためて光栄に思います。

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息子が循環器内科の先生に「弁膜症」と診断された時、息子には、全く自覚症状が有
りませんでした。

それどころか、1日、目一杯、学校、スポーツ、バイト、遊びと青春
を謳歌していました。

(また、家族も心臓に問題を抱えているとは、どうしても、信じ
られませんでした。)

内科の先生は、手術の可能性は5分5分と言われましたが、手術部分が「心臓」だけに、

親子ともに、絶対に、したく有りませんでした。

その手術判断は、外科の先生にしていただくようでした。

もし、手術しないといけないなら、途中で先生を変えるのも、色々と大変なので、

初から、お願いする先生の所に息子を連れて行きたいと思いました。

大きな総合病院では途中で、先生が変わる時もあるそうです。

よって、色々と調べてみました。わかった事は、

※「弁膜症」は逆流の度合いで
・経過のみ定期的にチェックする。
・内科で薬等で悪化しないようにする。
・外科で根本から、又は今より良い状態に手術する。
 

※ 手術のタイミングの判断は内科と外科の先生で分かれる事がある。
 

※ 手術の判断の医学的なガイドラインがある。

※ 手術の種類として自分の弁を修復する弁形成と、弁自体を取り替える弁置換手術がある。
※ 術後を考えると弁形成の方が良い。

※ 弁置換には機械弁と生体弁が有り、機械弁は生涯ワーファリンという薬がいる。

※ 弁形成のできる先生は、まだ日本にも少なく、その上、先生の手術の「うで」に大
きく術後が左右される。

※ 手術方法として骨を切らないMICSがあるが、できる先生はさらに限られる。しかし
術後の見た目もよく、社会復帰も早くできる。

※ 弁形成として手術をしても開胸後の状態で弁置換にかわる場合がある。

これらの事より外科の先生を捜す条件を出してみました。

(1) 弁形成をして下さる先生

(2) MICSをして下さる先生

(3) 医学的根拠に基ずいて、手術の有無を判断してくださる先生

(4) できればGoodやbetterではなくBestの先生

(5) 手術中、弁形成→弁置換の可能性が出てきた時に、医学的な切り替え判断ぎりぎ
り迄弁形成にこだわってくださる先生

(6) 手術が保険でできる事

(7) 自宅近くの病院

これらの条件を考えて捜していた時に、開業医の先生から、名古屋に良い先生がいらっしゃって、紹介状を書いた方から「感謝された」事と、

総合病院より、心臓専門の病院に行った方が検査やアフターケアーも含め、時間的な事等、色々と良い場合が多いと伺いました。

その名古屋の先生が米田先生で、弁形成、MICSもされ、手術のガイドラインを作られ
た先生方のお一人でした。

米田先生は「神の手」「スーパードクター」「世界的権威」
の形容詞がついておられる先生で、先生のHPの手術例から(5)の条件も頑張って下さっているのがわかります。

私たちが、探し当てたBESTの先生でした。

MICSも弁形成も保険適用です。

 

名古屋は関西からはちょっと遠いですが、診察時間や、診察と色々な検査が一度に済
むように配慮していただいたので、実際は「距離は遠いが、先生、病院と患者の距離
は近い病院」でした。

米田先生はどんな質問にも、やさしく、くわしく、丁寧に答えて下さいました。

先生が、かなり多くの患者さんから、色々質問された事がわかるお答えでした。

先生のお話は、本当にわかりやすく、いつの間にか、手術に対する不安はなくなりま
した。

名古屋ハートセンターに行く迄、「手術はしない」と言ってた息子が、先生の
最初の診察で、その場で「手術をしていただく」と決断し、一度もぶれることもあり
ませんでした。

入院中は、他の先生方にも優しく接していただきましたし、また、看護士さん同士の
連携の良さには驚かされました。

退院後にわかった事は、私たちの知らない間に、名古屋ハートセンターに行く迄にか
かわった開業医の先生、地元の循環器内科の先生に、米田先生が、何度となく電話、
FAX等を入れて下さっていた事です。

心から感謝しています。

本当に、名古屋ハートセンターに行って良かったと思っていますし、
米田先生には、息子の「明るい未来」を頂いたと確信しています。

色々ありがとうございました。

そして、今後もよろしくお願いします。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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