お便り72 二弁置換とメイズ手術をミックス法で受けた患者さん

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ミックス手術つまり小さい皮膚の創で患者さんへの負担が少ない、小切開低侵襲手術はこれまでのところ、限られた数の病院で、しかも一部の比較的簡単な心臓手術にしか使われていないという傾向があります。

IMG_5568bたしかにミックス手術は視野が限られるため、あまり大きな手術には不向きと言う意見も一理あります。

しかしミックス手術が安全にできる範囲内で、なるべく多くの患者さんたちにその恩恵が届くように、という努力を私たちは続けています。

つまり簡単な手術の、それも若い患者さんだけでなく、より複雑な心臓手術それもより高齢の患者さんにも安全にできるミックス手術を推進しています。

下記の患者さんは60台半ばの女性で、二弁が硬く狭くなっており、しかも心房細動になっておられたため、二弁置換とメイズ手術という、比較的大きな手術を希望して来院されました。

大学病院ではミックス手術などありえない、そんな必要はないといわれてのご来院でした。

 

ミックス手術は不慣れな心臓外科医が行うには多少とも危険な手術です。しかし熟練した外科医が、快適にやれる場合は前向きにやるのが良いと考えています。

それは手術のあとの痛みが少なく、運動もしやすいため術後肺炎や静脈血栓症などの合併症も予防しやすく、早く普通の生活や仕事にもどれるためストレスが少なくご家族の負担も軽くなるから良いのです。

美容上のメリットつまり夏服でも創が見えない見えにくいというのは確かに大きなメリットですが、それは結果にすぎません。

ミックス手術のほんとうにあるべき姿を見失わない、これが大切なのです。

患者さんは二弁ともきれいに作動するようになり、心房細動も治りました。

多数の弁形成手術の経験から、こうした弁がカチカチに硬化・肥厚した弁で比較的ご高齢の場合は複雑な弁形成よりも生体弁が有利なことが多々あり、内容的にも良かったと思います。

 

*********患者さんからのお便り*************

米田正始先生

22日に2弁の置換、心房のメイズ手術をしていただいた****です。
 

退院の翌日、6月3日の録画をみて、”私もこんな大変な手術をうけたと
自分の心臓をいとおしく思いました。

今日はじめてPCを開きました。”いい心臓、~”からその録画が先生の
ホームページにUPされているのを知り、もう一度みました。

セカンドオピニオンは”患者の権利”とはいうものの、とりづらいものです。
とくに私は3年間受診し、手術を前にしてのことでした。

でも何かに導かれるように米田先生に出会うことができ、本当に幸運
だったと思っています。

手術後、先生が”自分の症状を調べ、勉強したごほうびです”とおっしゃってくださいました。うれしかったです。

北村先生、深谷先生、木村先生の朝の回診。いつも笑顔で・・・色、形は
ちがいますが・・・どんな質問にも応じて下さいました。患者が心待ちにしている
回診、それまでの私の回診のイメージとは全くちがいました。

手術後、まだつらい時に夫の命日を迎えました。

暗い部屋の中で、涙を流していると、やさしく声をかけて下さった看護士さん。

18日間の入院中、たくさんのみなさまにお世話になりました。

心よりお礼申し上げます。

9月11日

****

 

Ilm09_ak02018-sご主人さまの命日のお話を知ったとき、ジーンと来ました。

つらい中を本当によく頑張って下さったと思います。

これからご主人の分も楽しく元気に暮らして下さいと願わずにはおれません。

支えになってくれた看護師さんにも感謝しています。

 

上記のお便りをいただいてから、その掲載許可をお願いしたところ、以下の追加のお便りを下さいました。ありがとうございます。

 

********** 追加のお便りです **********

米田正始先生

先生のホームページに掲載の件、私の経験がお役に立つのであれば
うれしいことです。

私は、手術は大学病院でするものと思っていましたので、ハートセンター、
米田先生についての知識は全くありませんせした。

先生が広く情報を発信してくださっているおかげです。

そしてコネもないのに快く受け入れてくださいました。

これは独り言です・・・患者にとってメリットばかりのMICS、どうして名古屋の
大学病院では無理なのでしょうか? 旧態依然???

今、”患者さんの会のご案内”読ませていただきました。

おもしろい、楽しそうな演題なので、ぜひ参加したいと思います。

9月12日


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いつしか時間が経ちました。 Sirayuri

外来でお元気なお姿を拝見するたびにうれしく思っています。

前向きの姿勢で楽しい生活をお送りください。

そうこうしているうちに2年あまりがたち、お正月にメールマガジンに対してお返事をWEB経由で頂きました

海外旅行楽しんできてください

******* 2年後にいただいたメールです ******

 

57号読ませていただきました。 お便り72コメント

私は2012年8月に名古屋ハートセンターで、2弁置換とメイズ手術を先生にしていただきました。

すっかり健康になり、水泳、ゴルフ、旅行と元気に過ごしております。

手術の傷痕を見なければ手術したことを忘れるほどです。先生のおかげで大学病院で言われた半分以下の創ですみ、普通の夏服や水着が着られます。

大学病院で手術も決まっていたのに、先生にお会いでき不思議な気がしております。

幸運でした。

5日からスリランカに行ってきます。

ここに書くのは場違いと思いますが、お許しください。先生のご健康をお祈りします。

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こうした楽しいお便りを頂けるのはほんとうにうれしいことです。

なお米田正始は2016年8月から医誠会病院で心臓手術(外来は仁泉会病院でも)をしています。

メールマガジンはこのホームページの右段にご案内がございます。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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