畏友、太田剛弘先生が東京スポーツ・大阪スポーツに掲載されました

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ハートチームのかなめ、中心は IMG_0280やはり循環器内科です。内科が活発になってはじめてハートチーム全体がレベルアップし、楽しくなります。

この4月から畏友・太田剛弘先生が高の原中央病院かんさいハートセンターに副センター長・循環器内科部長として着任され、同先生を慕う熱心な先生方を加えて5名のチームが誕生しました。

これまでひとりで内科を支えて下さった村岡先生には何度お礼を申し上げても足りない思いです。

 

こうして同じ方向性、同じ喜びを共有するハートチームが発足し、成果が上がりつつあります。それを東京スポーツ紙が取材してくださいました。

以下は9月18日に掲載された内容です。


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奈良県奈良市 高の原中央病院 かんさいハ IMG_0575bートセンター 太田剛弘副センター長

名医の診察室

狭心症、心筋梗塞の患者ばかりを治療するハートセンターが多い。そんな中、「弁膜症も心筋症も、とにかく心臓全体を診断・治療するハートセンターを目指しています」と熱く語り、心臓血管外科と手を取り合って患者を救う名医がいる。(医療ジャーナリスト・松井宏夫)

その名医とは、高の原中央病院(奈良県奈良市)かんさいハートセンター循環器内科の太田剛弘副センター長(67=弘前大・医卒)。“病気、病状の説明が分かりやすい”と患者の人気が高い。

つい先日、心臓弁膜症の患者がかたくなに入院も手術も拒否し続けた。
「心臓には部屋が4つあり、その扉が血液の流れを一定にしてくれています。その扉の1つ僧帽弁が壊れ、うまく閉じなくなっています。壊れた扉は薬では治せません。扉を正常な形に矯正する手術は確実な手術。これは米田正始センター長の得意な手術です。きちっと治すともっと元気になりますよ。このように時間をかけて話すと患者さんに理解していただけ、入院手術となりました。じっくり患者さんと話をするのは内科医の原点です」

これほど患者に時間を割くのは太田副センター長の体験から来る。太田副センター長は早大の理工学部を卒業して就職。その後、急性肝炎が慢性化して入退院を繰り返した。入院中に医師は1日数分程度しか顔を出さず、病気の詳しい説明もなかった。その時に、医学を学ぶべきでは、と思った。

退院して会社に戻ると自分の居場所はなく、当時の二期校の受け付けが間に合う医大を受験し、合格。同期の人とは約8年の開きがあった。

卒業後は循環器内科医として歩み、1992年、米国・デューク大学に留学。心臓超音波検査(心エコー)での診断に精通した教授の下で臨床に励む日々を過ごした。

帰国しようとしたとき、教授に強く引き留められた。「“工学部で3Dエコーを開発している。我々も参加し作り上げる。君も一緒にやってほしい”―。私はその後3年、結局5年の留学を終えて帰国しました。その時に開発した装置は一瞬にして3D画像ができるので『リアルタイム3Dエコー』と呼ばれました」

内科と外科との垣根なし

太田副センター長は診断を確実なもとにするこの3Dエコー開発者の1人である。帰国後は大阪の府中病院の循環器内科部長として活躍後、4月からこのハートセンターで米田センター長と二人三脚で歩み始めた。

「3Dエコーを使って診断すると、たとえば心臓弁膜症の場合、その弁のどこをどのように形成すると良いのか、そこまで分かって外科にお願いできます。丸投げではありません。もちろん外科としっかり話し合います。その合同カンファランスを毎日時間をかけて行っています」

センターの合同カンファランスは内科外科の垣根はない。患者の主治医が患者の状態を解説し、どのように対応するのが良いかをディスカッションする。心エコー画像も全員でチェックする。

「患者さんに最も良い治療をみんなで考えます。手術をみんなで考えます。手術を行うと決まっても、私どもの外科の米田センター長は患者さんに最善の方法を提案されます。患者さんを第一と考えて話し合っています」

もちろん、患者の疾患は千差万別。
「ハートセンターを受診する患者さんの疾患は10人のうち6人が狭心症・心筋梗塞、10人に1人が弁膜症、心筋症は10人に“0・数人”かもしれません。私たちはつらい思いをしている人は100人に1人かもしれなくとも救えるようにする、との思いで前進します」
患者の強い味方、真のハートセンターが確実に前進している。

心臓弁膜症の推定患者数は200万人

心臓病と聞くと狭心症、心筋梗塞を思い描く人は多いが、「心臓弁膜症」も患者は意外と多い。推定患者数200万人、手術を必要とする患者は年間約1.7万人。

心臓には僧帽弁、大動脈弁、三尖(さんせん)弁、肺動脈弁の4つの弁があり、弁に問題が生じると、「息が切れる」「動悸がする」「呼吸が苦しい」「夜寝ると苦しい」「体がむくむ」など様々な症状を引き起こす。

これは心臓の弁の異常によって血液循環がスムーズにいかないからである。なかでも全身に影響を及ぼしやすいのは僧帽弁と大動脈弁。手術もこの2つの弁で約97%をも占めている。

弁膜症の原因疾患は「狭窄症」と「閉鎖不全症」。基本的には4つの弁でそれぞれ起きるが、やはり多いのは僧帽弁と大動脈弁で、僧帽弁では僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁では大動脈弁狭窄症が圧倒的に多くなっている。

治療では内科治療は「薬物療法」「カテーテル治療」、外科治療は「弁置換術」「弁形成術」が行われている。

ここにカテーテル治療としてTAVI(経カテーテル式大動脈弁置換)が2013年10月から保険適用され新たに加わった。ただし、TAVIは施設認定を受けている施設でのみ行うことができる。

 

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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