お便り12  僧帽弁閉鎖不全症の患者さん

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000943m_b患者さんは44歳男性で高度の僧帽弁閉鎖不全症のためにハートセンターに来られました。

おなじ僧帽弁閉鎖不全症でもいろいろで、僧帽弁全体の4分の3以上が壊れて落ち込むという広範囲の病気のため、

弁の大半の部分に手をつける複雑な僧帽弁形成術になりました。

 

しかしお若い患者さんで弁形成術のメリットが大きい方ですので、さまざまな方法を駆使して人工弁置換を無事回避し、弁形成を仕上げることができました。

僧帽弁閉鎖不全症はきれいに治りました。

長期的にも安定する所見です。

途中でくじけそうになりましたが、患者さんが手術前、敢然と手術を決意して下さったことを思い出し、

逆に励まされる気持ちで粘り強く僧帽弁閉鎖不全症の形成手術を完遂できました。

 

患者さんが医者を育てるというのはこういうことだと実感しました。

以下のお手紙は退院時に投書箱へ入れて下さったものです。

 

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米田先生初め、北村先生、深谷先生、小山先生、また担当戴きました看護師の皆様には心より感謝申し上げます。

米田先生にお会いするまでは騙し騙しぎりぎりまで手術を先延ばしするつもりでしたが、今なら弁形成が可能であり、また置換と形成との効果の相違、また放置した場合と現時点で手術した場合のリスクを、分かり易く比較して説明して頂き、今後のQOLを充分に鑑み家族と話し合い手術する決意をする事ができました。

術前も、先生方が積極的にインフォームドコンセントを含めたコミュニケーションを取って頂き全く不安なく(本人は)手術を受けることが出来ております。

今後は健康な体になり、気兼ねなく仕事に打ち込める事や、高校・中学の2人の息子や妻ともスポーツを交えた楽しい時間を過ごす機会を与えられ社会復帰が楽しみです。

貴院に於かれましては志の高い看護師の方々が、更にスキルアップしようと研修に積極的に参加されている様子などから益々患者からの信頼性の向上が期待され発展される事を信じております。

本当にありがとうございました。

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執筆:米田 正始
福田総合病院心臓センター長 仁泉会病院心臓外科部長
医学博士 心臓血管外科専門医 心臓血管外科指導医
元・京都大学医学部教授
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